東京23区マンション1.6億円、なぜ容積率緩和が高騰の元凶?
マンション高騰とローン金利上昇の二重苦のウソ マンション・バブルは間もなく崩壊する(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース(6月24日, Yahoo!ニュース)
この記事の要約
日銀が政策金利を1.0%程度まで引き上げ、住宅ローンの負担増が話題です。みずほ総研の試算では、ローン残高の多い30代世帯で年間約2万1,000円の負担増とされます。一方、新築マンション価格は東京23区で平均1億6,286万円と、1年で15.9%上昇しました。 記事は、価格高騰の主因を金利ではなく「容積率の規制緩和」に求めます。1997年と2002年の建築基準法改訂で、共用部分を容積率から除外でき、住居系で最大500%まで建てられるようになりました。供給側の制度変化が高騰を後押ししたという見立てで、記事は「バブル崩壊」の可能性にも触れています。
専門家がニュースをわかりやすく解説!
金利が上がると住宅ローンの返済が増えて、マンションが買いにくくなるって聞きました。でも記事は金利のせいばかりじゃないと言っていますよね。どういうことですか?
結論から言うと、金利上昇の負担増は意外と小さいんです。記事の試算では30代世帯で年間2万1,000円ほど。月にすると2,000円弱で、価格が1.6億円に跳ね上がったインパクトに比べれば、ごくわずかです。
つまり「買えない理由」の本丸は金利ではなく、価格そのものの高騰なんですね。
価格がそんなに上がった原因が、金利でも人気でもなく「容積率の緩和」だというのが意外でした。容積率って何ですか?
容積率とは、土地に対してどれだけ床面積を建てられるかの上限です。たとえば容積率200%なら、100平米の土地に延べ200平米まで建てられる、というイメージです。
これが大きいほど、同じ土地に部屋をたくさん作れます。だから容積率が緩むと、開発業者は高く土地を仕入れても採算が合うようになるんです。
容積率が緩むと部屋が増えるなら、むしろ供給が増えて価格は下がりそうですけど、逆なんですか?
いい疑問です。ポイントは、緩和の恩恵が「土地の値段」に吸い込まれてしまう点にあります。たくさん建てられる土地は収益が高く見えるので、地主が強気になり地価が上がります。
結果として、開発業者の土地の仕入れ値も上がり、最終的な販売価格に転嫁される。供給が増えても、その分高い土地で作るので価格は下がりにくいんです。
記事では共用部分が容積率に入らなくなった話も出てきます。これは何が問題なんですか?
1997年の改訂で、廊下や階段、エントランスホールなどの共用部分は容積率にカウントしなくてよくなりました。すると、売れる住戸の面積を減らさずに豪華な共用部を作れます。
だから無駄に広いエントランスや内廊下が増えたんです。見栄えは良くなりますが、その建設費や維持費は結局、価格や管理費に乗ってきます。
なるほど。じゃあ2002年の高層住居誘導地区とか斜線制限の話は、どう効いているんですか?
2002年の改訂で、住居系は最大500%、商業系は最大1,300%まで緩和され、さらに高層住居誘導地区では日照を守る斜線制限が外れました。これで、周りの日当たりに気を使わず超高層タワーを建てやすくなったんです。
タワーマンション乱立の制度的な土台が、ここで整ったわけですね。湾岸エリアの林立も、この延長線上にあります。
記事は「バブルは間もなく崩壊する」とも言っています。本当に下がるんでしょうか?
正直、断言はできません。崩壊論の根拠は、価格が実需(=実際に住む人の収入)とかけ離れ、投資マネーや海外資金に支えられている面が大きいことです。金利上昇で投資妙味が薄れれば、調整は起こりえます。
ただし都心の人気エリアと郊外では事情が違います。供給が絞られる都心一等地は底堅く、過剰供給の郊外タワーは値崩れしやすい。一律に崩れるのではなく、二極化が進む可能性が高いと見ておくべきです。
記事には地方都市が注目という話もありました。これは現場にどう関係しますか?
都心の価格と金利の二重負担で、若い世代が現実的な選択肢として地方や近郊に目を向け始めています。リモートワークの定着も後押しです。賃貸でも、都心の高い物件より広さや住み心地を重視する層が増えています。
エージェントとしては、この「都心一択ではない」流れを掴むことが商機になります。
私たち現場の担当者は、こういう知識をどう活かせばいいですか?
まず「価格高騰の正体は金利ではなく制度と土地の仕組み」だと説明できると、お客様の信頼が一気に増します。ニュースで不安を煽られた顧客に、冷静な判断材料を渡せる存在になれるからです。
具体的には、エリアごとの二極化を踏まえ、都心の値持ちする物件と、郊外で割安に住む選択肢を相手の状況に応じて提案する。さらに容積率や共用部のコスト構造を理解していれば、管理費の妥当性まで助言できます。背景まで語れるエージェントは、ただ物件を紹介するだけの同業者と確実に差別化できます。
10分でわかる
不動産ニュース解説とは?
不動産に関するニュースを、不動産エージェント向けに実務にも活かせるよう、わかりやすく対話形式で解説するコンテンツです。