マンション保険が大幅値上げ、なぜ「無保険」物件が続出?
マンション保険に危機、管理組合向け大幅値上げ 免責額調整など対応策 - 日本経済新聞(10月4日, 日本経済新聞)
この記事の要約
マンション管理組合向けの保険が危機的状況にあります。保険料が大幅に上昇し、本来は必要性の高い特約まで外して補償を薄くするケースが増えています。さらに、保険代理店を兼ねる管理会社との契約が終わったのをきっかけに、気づかないうちに無保険状態に陥る物件も出ています。 対応策としては、免責額(=保険金が出る前に自己負担する金額)の調整などが挙げられています。免責額を上げれば保険料を抑えられますが、いざという時の自己負担は増えます。補償を削りすぎると、大規模な事故や災害の際に管理組合の運営が立ち行かなくなる恐れがあります。 賃貸・売買の現場でも、管理状態の良し悪しを判断する重要な材料になります。保険の内容は、そのマンションの修繕体制や財務の健全性を映す鏡でもあるのです。
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マンションの保険って、管理組合が入るものなんですね。そもそも、なぜ今こんなに値上がりしているんですか?
結論から言うと、保険会社が支払う保険金が増えすぎて、採算が合わなくなっているからです。
理由は大きく二つあります。一つは、台風や豪雨など自然災害による被害が全国的に増えていること。もう一つは、築年数が経った古いマンションが増え、水漏れや設備の故障といった事故が頻発していることです。
保険会社から見れば『入ってくる保険料より、出ていく保険金のほうが多い』状態。だから保険料を上げざるを得ないわけです。
なるほど。でも値上げされたら、組合としては補償を減らしてでも保険料を抑えたくなりますよね?
まさにそこが問題なんです。保険料を抑えるために、必要性の高い特約まで外してしまうケースが増えています。
たとえば給排水管からの水漏れ事故を補償する特約です。古いマンションほど水漏れは起きやすいのに、それを外してしまうと、いざ事故が起きても保険金が出ません。
目先の出費を惜しんで、本当に守るべきリスクを無防備にしてしまう。これは非常に危うい判断です。
記事にある『免責額の調整』というのは、どういう仕組みなんですか?
免責額とは、保険金が支払われる前に自分たちで負担する金額のことです。わかりやすく言えば、自動車保険の『自己負担3万円まではこちら持ち』というのと同じ発想です。
この免責額を上げると、小さな事故は自腹になる代わりに、保険料そのものは安くなります。
つまり『小さな損害は自分で払う。本当に大きな損害だけ保険に頼る』という割り切りです。補償を丸ごと外すよりは、賢い削り方だと言えます。
それにしても、知らないうちに無保険になっている物件があるというのは怖いですね。どうしてそんなことが起きるんですか?
多くの場合、管理会社が保険代理店を兼ねていることが背景にあります。保険の手続きを管理会社に任せきりにしているマンションは少なくありません。
ところが、管理会社との契約が終わると、保険の更新手続きも宙に浮いてしまうことがあるんです。誰も引き継がず、気づけば保険が切れていた、というわけです。
管理組合が保険の中身を自分で把握していないと、こうした空白が生まれやすい。『任せきり』のリスクですね。
もし無保険のまま大きな事故が起きたら、どうなってしまうんですか?
補償がなければ、修繕費用をすべて管理組合の積立金や、住民からの臨時徴収でまかなうことになります。
大規模な水漏れや火災なら、数百万円から数千万円かかることもあります。積立金が足りなければ、住民一人ひとりに追加負担が回ってきます。
最悪の場合、お金が足りずに必要な修繕ができず、建物の劣化が進む。管理組合の運営そのものが行き詰まってしまうのです。
これは賃貸や売買の現場にも関係してきそうですね。エージェントは何を見ればいいんでしょう?
保険の状態は、そのマンションの『健康診断書』のようなものだと考えてください。
売買仲介なら、重要事項の確認と合わせて、管理組合が適切な保険に入っているか、特約を削っていないかを確認すべきです。無保険や補償薄のマンションは、将来の負担リスクが高いサインです。
賃貸でも、水漏れトラブル時の補償体制を把握しておけば、オーナーや入居者への説明に差が出ます。
保険の中身まで見ている担当者は、確かに少なそうです。
そこが差別化のチャンスです。多くのエージェントは価格や立地、設備までは語れても、保険や管理の財務体質までは踏み込めていません。
『このマンションは保険の特約もしっかり維持していて、管理が健全です』と根拠を持って説明できれば、顧客の信頼は一気に高まります。
保険料高騰という逆風の時代だからこそ、管理の質を見抜ける目を持つことが、プロとしての価値になります。数字や契約書の裏側まで読み解ける担当者こそ、選ばれる存在になるのです。
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