東京23区の賃料26万・中古マンション1.2億…掲載と反響の溝は埋まるか
東京「家賃・マンション価格」過去最高水準。売り手と買い手の間にある深い溝はこの先埋まるのか… - Business Insider Japan(8月12日, Business Insider Japan)
この記事の要約
不動産情報サイト「LIFULL HOME'S」の2026年7月マーケットレポートによると、東京23区のファミリータイプ賃貸の掲載賃料は平均25万9107円と過去最高を更新。一方、実際に借り手が問い合わせる際の「反響賃料」は18万1950円で、約7万7000円もの差が開いています。 中古マンションでも同様で、23区の掲載価格は1億1846万円に対し、反響価格は7333万円と約4500万円の開き。売り手・貸し手の強気な価格設定と、買い手・借り手の希望価格のギャップがこの2年で拡大しています。 このギャップを背景に、23区を第一希望としながらも価格面で都下や横浜・浦和・大宮など周辺エリアへ目を向けるユーザーが増加。ニーズが都心から郊外・都外へと広がる流れが本格化しています。
専門家がニュースをわかりやすく解説!
23区の賃貸ファミリータイプが平均26万円って、正直びっくりしました。でも借りたい人の希望は18万円なんですよね。そんなに差があって、これって取引は成立しているんですか?
いい着眼点です。結論から言うと、掲載価格と反響価格が違っても取引自体は動いています。ここでいう「反響価格」は、買い手や借り手が問い合わせるときに指標にしている希望水準のこと。つまり「本音の予算感」だと思ってください。
掲載価格は売り手・貸し手が出す「言い値」。この言い値と本音のズレが広がっているのが今の東京の特徴なんです。
なるほど、言い値と本音のズレなんですね。でもなぜこの2年でそんなに開いてしまったんでしょう?
主な理由は二つあります。一つは建築費と土地価格の上昇です。資材や人件費が上がり、新築の値段が上がると、それに引っ張られて中古や賃貸の言い値も強気になります。
もう一つは、貸し手・売り手側に「待てる余裕」があること。低金利で保有コストが低いと、安く手放す必要がないので価格を下げにくい。結果、本音の予算とのギャップが縮まらないんです。
家賃だと7万円以上、中古マンションだと4500万円もの差があると、庶民には手が出ないですよね。みんなどうしているんですか?
ここが記事の肝で、ニーズが外へ広がっているんです。23区を第一希望にしつつ、価格面で都下や横浜・浦和・大宮といった周辺エリアを第二希望として検討する人が増えています。
つまり「予算は動かせないから、エリアを動かす」という選択です。この流れは2023年秋ごろから本格化したとされています。
都下でも掲載賃料が反響賃料を上回っていて、しかも2025年春に逆転したとありました。これはどういう意味なんですか?
以前の都下は「言い値のほうが本音より低い」、つまり借り手優位のエリアでした。それが2025年春に逆転し、貸し手が強気に出せる市場に変わったということです。
理由は明快で、23区からあふれた需要が都下に流れ込んだから。人が来れば貸し手は強気になれる。都心の高騰が、じわじわ周辺まで押し広げているわけです。
この深い溝は、この先埋まるんでしょうか?
短期で一気に埋まるとは考えにくいです。埋まるとしたら、金利が上がって保有コストが増え、売り手が価格を下げざるを得なくなるパターン。もしくは供給が増えて選択肢が広がるパターンです。
逆に言えば、金利が低く供給も限られる今の環境が続く限り、言い値は下がりにくい。だからギャップは当面残ると見ておくのが現実的です。
現場のエージェントは、このギャップとどう向き合えばいいんでしょう?
まず売り手・貸し手には「反響価格」というデータを見せて、言い値と本音の差を数字で示すのが有効です。感情論ではなく「この価格帯は問い合わせが◯割少ない」と現実を提示すれば、価格調整の納得感が生まれます。
買い手・借り手には、23区一択ではなく都下や横浜・大宮などの第二希望を早めに提案する。予算を軸にエリアの選択肢を広げてあげるのが刺さります。
データを橋渡しに使うイメージですね。最後に、このテーマでエージェントが差別化するコツを教えてください。
差別化のカギは「掲載価格ではなく反響価格で語れること」です。多くの担当者は掲載相場しか話せませんが、本音の予算水準や周辺エリアへの需要流出まで説明できると、顧客の信頼が一気に高まります。
具体的には、月次のマーケットレポートを読み込み、担当エリアの掲載・反響ギャップと第二希望エリアの動向を自分の言葉で説明できるようにしておく。『なぜ今この価格なのか、どこなら手が届くのか』を語れるエージェントこそ、高騰時代に選ばれる存在になります。
10分でわかる
不動産ニュース解説とは?
不動産に関するニュースを、不動産エージェント向けに実務にも活かせるよう、わかりやすく対話形式で解説するコンテンツです。