資材ショックで中小撤退・談合直撃、マンション大規模修繕が危機の理由
マンション大規模修繕に大逆風 「資材ショック」で中小業者が撤退、積立金不足に「談合問題」が直撃 - 東洋経済オンライン(8月6日, 東洋経済オンライン)
この記事の要約
マンションの大規模修繕工事がいま2つの逆風に同時に見舞われています。1つは中東情勢の悪化を背景とした建設資材の調達難と価格高騰、いわゆる「資材ショック」です。防水シートなどの材料が手に入らず、工期の遅れや工程変更が現場で相次いでいます。 もう1つは業界を揺るがす談合疑惑です。修繕を請け負う業者への信頼が問われ、中小業者の撤退も懸念されています。さらに多くのマンションでは修繕積立金が不足しており、値上がりした工事費を賄えない管理組合が増えるおそれがあります。 資材高・談合・積立金不足という三重苦は、区分所有者の負担増や資産価値の低下に直結します。売買・賃貸の現場でも、修繕計画や積立金の状況が物件評価を左右する時代になっています。
専門家がニュースをわかりやすく解説!
ニュースで『マンションの大規模修繕が大逆風』と見ました。そもそも大規模修繕って、そんなに大変なことなんですか。なぜ今、話題になっているのでしょう。
結論から言うと、いま修繕工事はやりたくても『材料が来ない・値段が上がる・業者が減る』という三重苦に陥っています。だから話題になっているのです。
大規模修繕とはマンションの外壁や屋上防水、鉄部などをまとめて直す工事のこと。おおむね12〜15年ごとに実施され、費用は数千万円から数億円規模になります。それが計画どおりに進まなくなっているのが今の問題です。
記事にあった『資材ショック』とは、具体的にどういうことなんですか。中東情勢と関係があるようで、ピンときません。
ざっくり言うと、原油からつくる素材が足りなくなって、建材の値上げと品薄が起きている状態です。
カギは『ナフサ』という石油を精製してできる原料です。防水シートや塗料など、修繕で使う多くの建材はこのナフサが元になっています。中東情勢が悪化して原油の流れが乱れると、ナフサが不足し、建材メーカーが値上げや出荷制限に踏み切る。結果として現場に材料が届きにくくなるのです。
でも足りないなら、みんな早めに買えばいいのでは?そう単純ではないんですか。
それがかえって混乱を大きくしています。『足りなくなるかも』と皆が在庫を多めに抱え込むと、本当に必要な現場にモノが回らなくなるからです。
トイレットペーパー騒動を思い出すとわかりやすい。実際の不足以上に『買いだめ心理』が流通を詰まらせる。今の建材市場でも同じことが起きていて、工期の遅れが常態化しているのです。
工期が遅れると、その延びた分の費用は誰が払うんですか。管理組合が負担するのでしょうか。
記事でも触れられていますが、遅延分の費用を業者側が負担するケースがあります。ここが中小業者の撤退につながる大きな理由です。
材料費は上がる、工期は延びる、その負担は自分持ち。これでは体力のない中小業者は採算が合わず、修繕市場から手を引いてしまう。担い手が減れば、管理組合は業者を選べず、価格交渉も難しくなります。
もう1つの『談合問題』も気になります。修繕工事で談合が起きると、住民にはどんな影響があるんですか。
談合とは、本来競争すべき業者が裏で価格を示し合わせること。結果として工事費が不当に高止まりし、そのツケは区分所有者が払うことになります。
マンション修繕は専門知識がないと適正価格が判断しにくい分野です。だからこそ管理会社や特定業者に丸投げすると、割高な工事を見抜けない。談合疑惑は『誰を信じて任せるか』という業界の信頼問題そのものなのです。
そこに『積立金不足』まで重なると、かなり深刻ですよね。値上がりした工事費を払えないマンションが出てくるのでは。
そのとおりで、これが一番の実務的リスクです。多くのマンションで積立金は当初計画のまま据え置かれ、今の物価に追いついていません。
工事費が2〜3割上がっても積立金は増えていない。すると『一時金を徴収する』『借入をする』『工事を先送りする』のいずれかを迫られます。特に工事の先送りは建物の劣化を進め、資産価値を確実に下げていきます。
なるほど。私たちエージェントは、こうした話をどう仕事に活かせばいいのでしょうか。
まず売買では、長期修繕計画と積立金の残高・徴収額を必ず確認してください。同じ築年数でも『修繕が計画的に進む物件』と『積立金不足で先送り中の物件』では、将来の価値が大きく分かれます。
賃貸でも他人事ではありません。修繕が滞ると外観や共用部が劣化し、入居付けや家賃維持に響きます。オーナーには早めの積立金見直しや業者選定の複数見積もりを助言できると強い。
差別化のポイントはここです。多くの担当者が『築年数』『駅距離』しか語らない中で、『修繕体制と積立金の健全性』まで踏み込んで説明できるエージェントは、顧客から『この人は建物の中身までわかっている』と信頼されます。資材ショックと談合問題を背景知識として押さえておけば、その説得力は一段と増すはずです。
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