利上げでも円安継続、パワーカップルのタワマンが破綻リスクに陥る理由
個人はマンション破産、企業不動産は外国ファンドへ…“金利引き上げでも円安”の未来図 - 文春オンライン(6月22日, 文春オンライン)
この記事の要約
日銀が4度目となる0.25%の利上げを決定し、政策金利は2年間で累計1%上昇した。本来、利上げは円買い・円高につながるとされるが、欧米との金利差が依然大きいため円安は止まらず、為替相場の反応は限定的だ。 利上げは変動金利型住宅ローンを直撃する。1億円を35年返済で借りた世帯では、累計1%の上昇で年間55万円程度の負担増となり、管理費・修繕積立金の値上げも重なる。 背伸びしてタワマンを買ったパワーカップルが家計を圧迫される一方、円安を追い風に企業不動産は外国ファンドの買い対象となり、二極化が進む構図が描かれている。
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金利を上げたら円高になるって聞いていたのに、なぜ円安のままなんですか?理屈が逆な気がします。
結論から言うと、日本の利上げ幅が小さすぎて、欧米との金利差がまだ大きいからです。
お金は金利の高いところへ流れます。日本が0.25%ずつ小出しに上げても、欧米の金利のほうがずっと高ければ、円を売ってドルを買う動きは止まりません。だから円安が続いているんです。
なるほど。でも0.25%ってわずかな数字ですよね。住宅ローンを組んだ人には、そんなに影響があるんですか?
これが意外と大きいんです。0.25%ずつでも2年間で累計1%上がっています。
記事の例では、1億円を35年の変動金利で借りた世帯は、年間で55万円ほど返済が増える計算です。月々にすると約4万6000円。家計にとっては決して小さくない金額です。
1億円も借りる人なんて、そんなにいるんですか?
近年は意外と多いんです。世帯年収1500万円を超える、夫婦ともに高収入の「パワーカップル」が、湾岸エリアのタワマンなどを買うケースが増えました。
問題は、低金利を前提にギリギリのローンを組んでいる点です。金利が上がる前提を入れていない計画だと、1%の上昇でも資金繰りが一気に苦しくなります。
でも収入が高いんだから、少しくらい返済が増えても大丈夫そうに思えます。
そこが落とし穴です。高収入でも、その分だけ大きく借りているので、余裕がないことが多いんです。
さらに最近はマンションの管理費や修繕積立金の値上げが相次いでいます。建築費の高騰で修繕コストが膨らんでいるためです。ローン返済増と維持費増がダブルでのしかかり、家計を圧迫します。
変動金利を選んだ人だけが大変なんですか?固定金利なら関係ない?
その通りで、今回直撃を受けるのは変動金利を選んだ世帯です。固定金利は契約時の金利が続くので、当面は影響を受けません。
ただ、変動金利は固定より金利が低いので、低金利時代に多くの人が変動を選びました。だからこそ、今の利上げ局面で影響を受ける世帯の数が多いのです。
記事には企業の不動産が外国ファンドに買われるとありました。これはどういうことですか?
円安が続くと、外国の投資家から見て日本の不動産が割安に見えるんです。
ドルを持っている人にとって、円が安いほど同じ物件を少ないドルで買えます。だからオフィスビルや商業施設といった企業不動産が、海外ファンドの買いの標的になりやすい。個人がローン地獄に苦しむ一方、企業不動産は外資が買い進めるという二極化が進むわけです。
個人は苦しくて、外資は買い得。なんだか不公平な気もしますね。
同じ円安・利上げでも、立場によって明暗が分かれるのが今の市場の特徴です。借金してマンションを持つ個人には逆風、現金やドルを持つ買い手には追い風になります。
賃貸の現場にも波及します。ローンが苦しくなった人が購入をあきらめて賃貸に回れば、賃貸需要が高まる可能性がある。逆に手放されたタワマンが賃貸市場に出てくる動きも出てくるでしょう。
私たちエージェントは、この状況をどう活かせばいいんでしょうか?
まず変動金利のリスクを正しく説明できることが武器になります。「年収が高いから大丈夫」ではなく、利上げと維持費増を織り込んだ資金計画を一緒に検証してあげる。それだけで顧客の信頼は段違いに高まります。
売買では、手放しを考える層に賃貸への切り替えや早めの売却を提案でき、賃貸では購入を諦めた層を上質な物件へ誘導できます。円安・利上げという同じニュースから「誰が苦しみ、誰が得をするか」を読み解いて顧客ごとに具体策を出せるエージェントこそ、これからの市場で選ばれる存在になります。
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