証券化不動産73.4兆円の実態調査、なぜ現場エージェントが知るべきか
令和7年度の証券化対象不動産の資産総額は約73.4 兆円 ~令和7年度「不動産証券化の実態調査」の結果の公表~ - mlit.go.jp(9月11日, mlit.go.jp)
この記事の要約
国土交通省は令和7年度の「不動産証券化の実態調査」を公表しました。リートや不動産特定共同事業、私募ファンドなどが運用する不動産・信託受益権の資産総額は、令和7年度末時点で約73.4兆円に達しました。 令和7年度にリートや不動産特定共同事業が取得した資産は約2.8兆円、譲渡した資産は約1.1兆円で、取得が譲渡を上回りました。市場全体としては資産を積み増す動きが続いていることを示しています。 今回は一般投資家の参加拡大を見据えた不動産特定共同事業のあり方の議論を踏まえ、公表項目も充実させました。個人が不動産投資商品に参加しやすくなる流れが、賃貸・売買の現場にも徐々に波及していく可能性があります。
専門家がニュースをわかりやすく解説!
「不動産証券化」ってニュースでよく聞きますが、正直よく分かっていません。73.4兆円ってすごく大きな数字ですけど、これは何のお金なんですか?
これは、投資家から集めたお金で運用されている不動産の総額です。証券化とは、ビルやマンションなどの不動産を「投資商品」に変えて、たくさんの投資家に少しずつ買ってもらう仕組みのことです。
たとえば数百億円のオフィスビルは、個人一人ではとても買えません。そこで所有権を細かく分けて証券のように売り、多くの人からお金を集めて運用する。その対象になっている不動産の合計が73.4兆円ということです。
なるほど。でも、そんな大きなプロの投資の話が、私たち賃貸や売買の現場にどう関係するんでしょうか?
実は大いに関係します。証券化された不動産の多くは、リート(=不動産に投資する上場ファンド)などが所有する賃貸ビルやマンションです。つまり、あなたが仲介する物件のオーナーが、実はファンドだったというケースは珍しくありません。
ファンドが所有する物件は、賃料設定や修繕、入退去の対応まで運用方針に沿って動きます。相手が個人オーナーとは意思決定のスピードや基準が違うので、現場の交渉感覚も変わってくるんです。
取得が2.8兆円で、譲渡が1.1兆円。取得のほうが多いのは、良いことなんですか?
ざっくり言えば、市場が「攻め」の姿勢にあるサインです。買った額が売った額を上回っているということは、ファンド全体で不動産を積み増している、つまり投資に前向きだと読めます。
逆に譲渡が取得を上回る局面では、価格が高いうちに売り抜けようという慎重ムードが強まります。今回は取得超過なので、当面は不動産への資金流入が続いている状況と見てよいでしょう。
ファンドが物件を買い増しているというのは、私たちの仕事にどんな影響がありますか?
まず、良い物件を巡る競争相手が増えるということです。ファンドは資金力があり、まとまった規模の物件を素早く買います。個人の買主が優良物件を狙うときは、こうしたプロと競うことになります。
一方で売却を考えるオーナーにとっては買い手が豊富なので、良い条件で売れるチャンスでもあります。エージェントとして、今が売り時か買い時かを語るときの根拠にできる数字なんです。
今回は「一般投資家の参加拡大」という話も出ていますね。これはどういう意味ですか?
これまで不動産証券化はプロや富裕層が中心でしたが、それを一般の個人にも広げようという流れです。特に不動産特定共同事業(=複数の個人が少額から不動産に共同出資する仕組み)で、少額から参加できる商品が増えています。
国が公表項目を充実させたのも、個人が安心して参加できるよう情報を整えるためです。今後、数万円から不動産に投資したいという一般の方が増えていくと考えられます。
個人が少額から不動産投資できるようになると、私たちエージェントにとってはお客さんが変わってくるということでしょうか?
その通りで、相談の入り口が変わります。今まで「マイホームを買いたい」だったお客様が、「少額から不動産で資産形成したい」と相談してくる時代が来ます。実物の物件を売るだけでなく、投資商品との違いを説明できると強いです。
たとえば「現物のワンルームを買う」のと「証券化商品に少額出資する」のでは、手間もリスクも流動性も全く違います。この違いを噛み砕いて説明できると、お客様の信頼を得やすくなります。
用途別や都道府県別のデータも公表されているんですね。これは何に使えますか?
これはエリア戦略の宝の山です。どの用途(オフィス・住宅・物流など)や、どの地域にプロの資金が集まっているかが分かります。資金が流れ込むエリアは、地価や賃料が底堅く推移しやすい傾向があります。
たとえば物流施設や特定都市への投資が伸びていれば、その周辺での賃貸需要や物件価値の見通しを語る材料になります。国が出す公的データなので、お客様への説明に説得力が出ます。
最後に、こうした証券化の知識を、現場のエージェントはどう活かせばいいでしょうか?
ポイントは、目の前の物件を「点」ではなく「大きな資金の流れの中の一つ」として語れることです。73.4兆円という市場規模、取得が譲渡を上回る前向きな地合い、そして一般投資家への門戸開放。この3つを押さえれば、なぜ今この物件なのかを数字で説明できます。
多くの現場エージェントは目の前の取引しか語れません。そこで「プロの資金がどう動き、あなたの物件やエリアにどう波及するか」まで語れると、一気に信頼される専門家になります。国交省のデータは無料で使える差別化の武器。ぜひ定期的にチェックして、提案の裏付けにしてください。
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