4月開始「住所変更登記義務化」放置で5万円—28年3月が期限
4月から「不動産の住所変更登記義務化」スマート登記も - 毎日新聞(7月29日, 毎日新聞)
この記事の要約
2026年4月から、不動産の住所や氏名の変更登記が義務化されました。引っ越しや結婚・離婚で登記上の住所・氏名が実態と変わったら、変更から2年以内に申請が必要です。正当な理由なく怠ると5万円以下の過料(=行政上の罰金)の対象になります。 背景にあるのは「所有者不明土地問題」です。登記情報が古いままだと、行政や事業者が所有者に連絡できず、買収や収用が滞ります。その経済的損失は累積で約6兆円と推計されています。 過去に住所変更していない人にも経過措置があり、施行から2年、つまり2028年3月31日までの申請が求められます。費用は不動産1個につき登録免許税1000円などです。
専門家がニュースをわかりやすく解説!
住所変更登記の義務化ってニュースで見ました。でも、引っ越しても登記なんて普段いじらないですよね?そもそも何が問題だったんですか?
いい質問です。これまでは、引っ越しても登記上の住所は昔のままでOKでした。次に売買や住宅ローンの登記をするときに、まとめて直せばよかったんです。
でも困るのは行政や事業者です。道路を広げたい、災害対策で土地を買いたい、というときに登記を見ても連絡先が古くて所有者に会えない。それが積み重なって『所有者不明土地』が九州より広い面積になってしまったんです。
九州より広い、はすごいですね。でも古い住所くらいで、そんなに大ごとになるものですか?
なります。一人の相続が連鎖すると、所有者がねずみ算式に増えるからです。たとえば親が亡くなり、その子も孫も登記を直さないまま何十年も経つ。
気づけば所有者が数十人に分かれ、全員の所在を追うだけで大変です。国はこの負担を減らすため、まず入り口の『住所変更』から手を打ったわけです。
なるほど。でも罰金5万円って、けっこう厳しくないですか?いきなり請求が来るんでしょうか?
いきなりではありません。流れがあります。まず法務局が裁判所に通知し、裁判所から『申請してください』と催告が届きます。
それでも期限内に対応しないと、過料決定になります。過料は行政罰なので前科は付きませんが、裁判所名義の公的な通知です。軽く見ないほうがいいですね。
過去に引っ越して、もう何年も登記を直してない人はどうなるんですか?今さら間に合うのかな。
経過措置があります。過去の未変更分も含めて、2028年3月31日までに申請すればセーフです。
逆に言うと、この日が全員共通の締め切りです。転居が多い方や海外在住の方は特に忘れやすいので、いま棚卸ししておくのが得策です。
費用はどのくらいかかりますか?手続きも難しそうで身構えます。
費用は不動産1個につき登録免許税1000円です。私道付きの戸建てだと、宅地・私道・建物で3個分、計3000円になることもあります。
加えて住民票の写しや戸籍の付票などの書類が必要です。金額は大きくありませんが、書類集めで意外と手間取るのが実情です。
記事にあった『スマート登記』というのは何ですか?楽になるんでしょうか。
住所変更をオンラインで簡便にできる仕組みを指しています。従来の紙申請より入口のハードルが下がる方向です。
ただ制度は始まったばかりで、運用の細かい部分は今後整理されていきます。エージェントとしては『使える手段が増えた』と案内しつつ、複雑な案件は司法書士へ、と線引きするのが安全です。
私たち賃貸や売買の現場では、これをどう活かせばいいんでしょう?
まず結論から言うと、売買の現場では『取引前の住所整理』を先に案内できると差がつきます。決済直前に登記の住所ズレが見つかると、手続きが増えて引き渡しが遅れることがあるからです。
賃貸でも意味があります。オーナー(貸主)の登記住所が古いままだと、更新や相続、建て替えの局面で連絡や意思確認が滞ります。担当物件のオーナー情報を早めに確認しておくと、後々のトラブルを未然に防げます。
なるほど。ただの登記の話じゃなくて、取引のスピードにも関わるんですね。
その通りです。この義務化は面倒な事務に見えて、実は『信頼される担当者』になるチャンスです。オーナーや売主に『2028年3月が期限ですよ』と先回りで教えるだけで、専門性と気配りが伝わります。
さらに一歩進めて、住所整理→司法書士連携→スムーズな決済、という導線を自分の仕事に組み込めば、他社との差別化になります。制度を『注意喚起』ではなく『顧客サービス』に変える視点が、これからのエージェントの武器になります。
10分でわかる
不動産ニュース解説とは?
不動産に関するニュースを、不動産エージェント向けに実務にも活かせるよう、わかりやすく対話形式で解説するコンテンツです。