賃貸事業者の過半数が「ピーク」判断、更新賃料値上げ88%の実態
この記事の要約
三菱地所リアルエステートサービスが「賃貸マンション市場の現状と今後の展望」レポートを公開しました。事業者アンケート(25年第4四半期)では、市況を「拡大期~ピークである」と見る回答が過半数を占めました。一方で、これまで減り続けていた「減退局面」との回答が増加に転じ、先行きへの警戒感も出始めています。 都心賃貸は出社回帰による職住近接ニーズで需給が逼迫し、高値でも成約する「貸手優位」が続いています。物価・資材・人件費の高騰を背景に、既存契約の更新時に賃料を「上昇・やや上昇」とする回答が88%(前年比+13pt)に達し、インフレの波が更新契約にも本格波及しています。 ただし分譲市場で見えた「消費者の支払い能力の限界」は、実質賃金が下がる賃貸の借主にも影を落としつつあります。今後は一律値上げではなく、設備やサービスで明確な付加価値をつける差別化が不可欠だと指摘されています。
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「拡大期~ピーク」って回答が過半数なんですよね。でも同時に「減退局面」の声も増えてるって、矛盾してませんか?どういう状況なんでしょう。
矛盾ではなく、まさに「潮目の変化」を表しています。多くの事業者は今の市場を強気に見ている。でも同時に「そろそろ天井かも」と警戒し始めた人が増えてきた、ということです。
山登りにたとえると、まだ頂上付近の見晴らしは良い。でも「ここから先は下りかもしれない」と足元を意識し始めた登山者が増えている状態です。天気が良いうちに、慎重になる人が出てきたわけですね。
都心の賃貸は「貸手優位」で高くても決まるって書いてありました。分譲マンションのほうは足踏みなのに、なぜ賃貸だけ強いんですか?
理由は主に2つあります。1つは出社回帰です。在宅から会社に戻る動きが進み、職場に近い都心の部屋を借りたい人が増えました。
もう1つは分譲の高騰です。分譲マンションが高すぎて買えない層が、賃貸に流れています。買えないなら借りる、という需要が都心の賃貸を押し上げているんです。だから高値でも部屋が埋まる状況になっています。
一番驚いたのが、更新時の賃料を上げるって回答が88%もあること。前年から13ポイントも増えてます。今まで更新でそんなに上げなかったんですか?
日本の賃貸は、更新時に賃料を据え置くのが長年の慣習でした。借主が住み続けてくれるなら、多少安くても空室リスクを避けたい、という発想です。
それが変わってきたのは、物価・資材・人件費の高騰で家主の収益が圧迫されているからです。新規募集だけでなく、既存の入居者にも値上げを求めざるを得ない。88%という数字は、その痛みがいよいよ本格化したことを示しています。
でも入居者からすれば、更新のたびに家賃が上がったら困りますよね。素直に受け入れてもらえるものなんですか?
ここが今回のレポートの核心です。実質賃金、つまり物価を差し引いた手取りの実感は下がっています。だから借主の「払える上限」も限界に近づいている。
分譲市場ではすでに「これ以上は買えない」という壁にぶつかりました。同じ壁が賃貸にも迫っている。値上げを一律にやれば、退去や空室というしっぺ返しが来るリスクがあるわけです。
じゃあ家主は値上げしたいけど、無理に上げると人が出ていく。板挟みですね。どうすればいいんでしょう。
レポートが示す答えが「価値創出型」の差別化です。ただ家賃を上げるのではなく、値上げに納得できる理由を用意する、という考え方です。
ハード面なら宅配ボックスや高速インターネット、防音や設備更新。ソフト面なら管理対応の速さや入居者向けサービス。「この家賃ならこの価値」と借主が思えれば、値上げも受け入れられやすくなります。
なるほど。ということは、私たちエージェントも「ただ高い部屋」を売るんじゃなくて、価値を説明する力が問われるってことですか?
まさにその通りで、そこが差別化の勝負どころです。これからは家賃という数字だけで比べられると勝てません。設備・立地・管理品質を具体的に言語化して、価値で納得させる提案力が武器になります。
家主向けには「無理な一律値上げは退去リスクを招く」と伝え、価値を高めて適正に上げる戦略を助言できる人が信頼されます。借主向けには「なぜこの家賃なのか」を根拠で説明できる人が選ばれる。市場がピーク感を帯びた今こそ、価格ではなく価値を語れるエージェントが、他社と一線を画す存在になれるのです。
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