修繕積立金を国債で運用すべき?金利1.25%でも建築費高騰には勝てない理由
マンション管理組合は修繕積立金を「運用」すべき?金利上昇分よりも得する「積立金の使い方」をマンション管理士が解説 - ダイヤモンド・オンライン(10月5日, ダイヤモンド・オンライン)
この記事の要約
日銀が2026年9月に政策金利を1.25%程度へ引き上げたことで、マンション管理組合から「修繕積立金を国債や社債で運用して、工事費の値上がりを埋められないか」という相談が増えています。多い組合では数億円を貯め込んでおり、少しでも運用益を得たいと考えるのは自然な発想です。 ただしマンション管理士(税理士)の結論は、利上げは追い風でも、近年の建築費上昇率の前では運用益の効果は限定的だというものです。金融商品を選ぶより先にやるべきは、設備の「何を・いつ・どこまで直すか」という修繕計画の手綱を握ること。 築40年超から築10年前後の大規模物件まで、長期修繕計画が工事費高騰で合わなくなり、積立金の値上げ幅を再検証したいという相談が集中しているのが足元の実態です。
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金利が上がったんですよね。管理組合が貯めてる修繕積立金も、国債なんかで運用すれば工事費の値上がり分をカバーできそうな気がするんですけど、ダメなんですか?
気持ちはよくわかりますが、結論から言うと効果は限定的です。理由はシンプルで、積立金を運用して得られる利回りよりも、建築費の値上がりスピードの方がずっと速いからです。
たとえば金利1.25%で数千万円を運用しても、年に得られる利息は数十万円規模。一方で大規模修繕の工事費は、ここ数年で2〜3割上がった物件も珍しくありません。入ってくる利息より、出ていくコストの増え方が大きいんです。
なるほど。でも『何もしない』よりは運用した方がマシじゃないですか?少しでも足しになるなら。
おっしゃる通り、安全な範囲で利息を取りにいくこと自体は否定しません。問題は、運用を『主役』にしてしまうことです。
管理組合のお金は、住民から集めた大切な共有財産です。元本割れのリスクがある社債や投資信託に偏ると、いざ工事のときに取り崩せない、という本末転倒が起きかねません。まず守るべきは安全性と、使いたいときに現金化できるかどうかです。
じゃあ運用より先にやるべきことって、具体的には何なんですか?
『何を、いつ、どこまで直すか』を決め直すこと。つまり長期修繕計画の見直しです。これが運用益よりずっと大きな効果を生みます。
修繕には『絶対に今やるべきもの』と『まだ先送りできるもの』『仕様を落とせるもの』が混ざっています。この優先順位を整理するだけで、数百万〜数千万円単位で支出のタイミングをコントロールできる。これが『修繕の手綱を握る』という意味です。
仕様を落とすって、手抜きみたいで住民から反発されそうですが…。
手抜きとは違います。たとえば外壁を全面やり直すのか、傷んだ部分だけ補修するのか。最新グレードの設備にするのか、必要十分なもので抑えるのか、という『選択』の話です。
大事なのは、根拠を示して住民に説明すること。『このままだと積立金をいくら値上げしないと足りません』『でも優先順位を整理すればこれだけ抑えられます』と数字で見せれば、納得は得られやすくなります。
そもそも今、相談が集中してるのはどういう物件なんですか?
築40年超の古いマンションから、築10年前後の数百戸規模まで幅広いです。共通しているのは『数年前に作った長期修繕計画が、工事費の高騰で合わなくなった』という悩みです。
計画時の見積もりと実際の工事費に大きな差が出て、『積立金をいくら上げれば足りるのか検証してほしい』という依頼が増えている。つまり運用で稼ぐ話より、計画の作り直しが喫緊の課題になっているんです。
これって、私たち賃貸や売買のエージェントの仕事とどう関係してくるんでしょう?
大いに関係します。中古マンションを扱うなら、その物件の修繕積立金が『足りているか』は資産価値に直結するからです。積立金が不足していれば、将来の一時金徴収や値上げのリスクが買主にのしかかります。
売買の現場では、重要事項調査報告書で積立金残高や長期修繕計画の有無を確認できます。そこで『運用益より計画の健全性が大事』という視点を持っていれば、買主に『この物件は計画がしっかりしている』『ここは要注意』と踏み込んだ助言ができます。
賃貸のほうでもオーナーに伝えられることはありますか?
区分所有の物件を貸しているオーナーには、積立金の値上げが将来の収支に効いてくると伝えられます。利上げで住宅ローンの返済額も増える局面では、ランニングコスト全体を見直す良いきっかけになります。
差別化のポイントはここです。金利が上がった今、多くの人が『運用で儲かる?』という表面的な話に飛びつきがちです。そこで『運用より修繕計画の手綱を握る方が効く』という一歩深い視点を、数字と根拠で語れるエージェントは、オーナーにも買主にも『この人は本質がわかっている』と信頼されます。目先の金利ニュースに流されない助言こそ、最大の武器になります。
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