地銀の不動産融資に金融庁が警鐘!なぜ今「歪んだリスク管理」が問われるのか
地銀がひた走る「不動産融資」の急膨張に金融庁と日銀が警鐘! 問われる歪んだリスク管理 - 東洋経済オンライン(7月24日, 東洋経済オンライン)
この記事の要約
東洋経済オンラインの報道によると、地方銀行による不動産向け融資が急激に膨らむなか、金融庁と日本銀行が警戒レベルを高めています。当局は融資の健全性やリスク管理のあり方を、以前より厳しい目線で評価し始めているといいます。 不動産融資は1件あたりの金額が大きく、返済が滞った(デフォルト)ときの損失も大きくなりがちです。そのため、万が一に備えた対策を各行が講じているかを、当局が注視しているとされます。 今年2月の地銀首脳と金融庁幹部の意見交換会でも当局の懸念が伝えられたと報じられ、地銀の融資姿勢が転換点を迎える可能性があります。賃貸・売買の現場にも影響が及ぶテーマです。
専門家がニュースをわかりやすく解説!
ニュースで『地銀の不動産融資に金融庁が警鐘』とありました。銀行がお金を貸すのは普通のことなのに、なぜ問題視されるんですか?
ポイントは『増え方が急すぎる』ことです。融資そのものは悪くありませんが、短い期間に特定の分野へ集中して膨らむと、そこで問題が起きたとき銀行がまとめて損をするリスクが高まります。
地方銀行はいま、本業の貸出でなかなか利益が出にくい状況です。そこで金額が大きく利ざやも取りやすい不動産融資に、各行が一斉に走っている。この『みんなが同じ方向に走る』構図を当局は心配しているのです。
なぜ地銀は不動産融資にそんなに力を入れているんでしょうか?
結論から言うと、他に稼ぐ手段が乏しいからです。長く続いた低金利で、預金を集めて企業に貸すだけでは利益が薄くなっていました。
一方、不動産は担保(=貸し倒れたときに回収に充てる物件)が付くので、銀行にとって『安全に見える』貸出です。1件が大きいので手っ取り早く残高も伸ばせる。だから地方でも都心の物件やファンド向けに積極的に貸してきたのです。
担保があるなら安全なのでは? なぜ当局はそれでも警戒するんですか?
担保があっても、物件の値段が下がれば安全網が破れるからです。不動産価格が高いときに貸すと、価格が下落したとき担保の価値が融資額を下回り、回収しきれなくなります。
記事が指摘する『歪んだリスク管理』とは、まさにここです。価格が上がり続ける前提で審査が甘くなっていないか、万一に備えた損失対策があるかを当局は問うています。過去のバブル崩壊やリーマン・ショックの教訓が背景にあります。
日銀も一緒に警戒しているのはなぜですか? 金融庁とは役割が違う気がします。
役割は違いますが、心配している中身は近いです。金融庁は個別の銀行の健全性を見て、日銀は金融システム全体の安定を見ています。
日銀は今、少しずつ金利を上げる方向にあります。金利が上がると不動産の買い手のローン負担が増え、価格が調整されやすい。だからこそ融資が過熱している今のうちに、両者が声を揃えて注意を促しているのです。
金利が上がると、賃貸や売買の現場はどう変わるんでしょう?
まず売買では、投資家や事業者の資金調達が難しくなります。銀行が審査を厳しくすれば、これまで通れた案件が通らなくなり、取引のスピードが落ちる可能性があります。
賃貸側では、新規のアパート・マンション建設が減る方向に働きます。相続税対策の賃貸アパート建築なども、融資が締まれば勢いが鈍る。結果として供給が絞られ、地域によっては家賃が下支えされる展開もありえます。
エージェントの立場だと、具体的にどんな影響に気をつければいいですか?
一番大きいのは『買い手の融資が付きにくくなる』ことへの備えです。契約直前で融資が下りず破談になるケースが増えるので、事前の資金計画の確認がこれまで以上に重要になります。
また、地銀ごとに融資姿勢の差が広がります。積極的な銀行と慎重な銀行を把握しておくと、案件に合った資金の出し手を紹介でき、成約率を守れます。
価格そのものにも影響は出ますか?
出る可能性があります。融資が絞られると買える人が減り、需要が細って価格の上昇が止まったり、地方や築古物件から値下がりが始まることがあります。
ただし全部が同時に下がるわけではありません。都心の優良物件は資金が集まりやすく底堅い一方、条件の弱い物件ほど融資と価格の両面で厳しくなる。エリアや物件ごとの二極化が進むと見ておくとよいでしょう。
最後に、この話をエージェントの仕事にどう活かせばいいでしょうか?
結論として、この動きは『融資の目利き力』を差別化に変えるチャンスです。当局の警戒でどの銀行がどんな条件を厳しくしているかを日頃から情報収集しておけば、顧客に『この案件はこの銀行が通りやすい』と先回りで提案できます。
さらに、金利上昇と融資引き締めを前提に、家賃見通しや出口戦略まで語れるエージェントは信頼されます。単に物件を紹介する人ではなく、資金と市場のリスクまで説明できる相談相手になること。それが、これからの時代に選ばれる最大の武器になります。
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