相続節税の切り札「不動産小口化」、2027年ルール改正でなぜ需要消失?
相続節税の不動産小口化、ルール改正で需要消失 FPGなど戦略転換 - 日本経済新聞(10月6日, 日本経済新聞)
この記事の要約
都心オフィスビルなどを500万円や1000万円の単位に小分けして販売する「不動産小口化商品」が、需要減に直面しています。これまでは相続・贈与の際に実際の時価より低い評価額で申告でき、節税手段として富裕層に広まってきました。 ところが国税庁が2027年1月にルールを変更する見込みで、この評価差を使った節税の旨みが大きく縮む見通しです。これを受け、FPGなど商品を手がける企業は戦略の転換を迫られています。 背景には、路線価の上昇や相続税を負担する人の増加といった環境変化があり、国が「行き過ぎた節税」を封じ込める流れが強まっています。賃貸・売買の現場でも、富裕層の資産設計の相談内容が変わる可能性があります。
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そもそも『不動産小口化商品』って何ですか? ビルを500万円で買えるって、どういう仕組みなんでしょう。
一言でいうと、大きなビルを細かく切り分けて少額で持てるようにした商品です。たとえば数十億円の都心オフィスビルを、不動産会社が500万円や1000万円の『持ち分』に分割して個人に売ります。
買った人はそのビルの一部オーナーになり、テナントからの賃料に応じた配当を受け取れます。数億円ないと買えない都心の一等地に、少額から参加できるのが魅力でした。
なるほど。でも、なぜそれが『相続の節税』になるんですか? 普通に現金を持っているのと何が違うんでしょう。
ポイントは『評価額』です。相続税は、持っている財産にいくらの値が付くかで税額が決まります。現金1億円はそのまま1億円と評価されますが、不動産は『路線価』などで計算するため、時価より低く評価されやすいんです。
小口化商品はこの性質を使っていました。1億円で買った持ち分が、相続時には数千万円の評価になることもあり、その差額分だけ課税対象が圧縮できたわけです。つまり『現金を不動産に替えるだけで評価が下がる』のが節税の正体でした。
それはお得ですね…。でも、そんなに差が出るなら、国からすると『やりすぎ』に見えてしまうのでは?
まさにそこが今回の改正の核心です。時価と評価額の差が大きすぎると、『本来払うべき税を不当に逃れている』と国が判断します。
国税庁は2027年1月にルールを変える見込みで、こうした評価差を使った節税を封じ込める方向です。評価のしかたが時価に近づけば、小口化商品を買っても節税効果がほとんど出なくなります。だから需要が消えつつあるのです。
商品を売っていたFPGのような会社は、これからどうするんでしょう。ビジネスが成り立たなくなりそうですが。
戦略の転換を迫られています。節税目的の客が離れる分、別の価値を打ち出す必要があるからです。
たとえば『少額から安定した賃料収入を得られる投資商品』として売り方を変える、あるいは運用の利回りそのものを磨いて勝負する、といった方向が考えられます。節税という『入口』が閉じると、純粋な投資魅力で選ばれるかが問われるわけです。
この改正は、小口化商品を扱っていない私たちのような賃貸・売買の現場にも関係してくるんですか?
大いに関係します。背景には、路線価の上昇で相続税を払う人が増えているという大きな流れがあるからです。東京23区では2割超が相続税の対象になるとの話もあり、節税ニーズ自体は消えません。
国が一つの抜け道を塞ぐと、お金は別の対策に流れます。賃貸経営用のアパート購入や、生前贈与を組み合わせた資産の持ち方など、相談の軸が移っていく可能性が高いのです。
つまり、お客さんの『相続対策の考え方』が変わるタイミングということですね。
その通りです。節税の王道だった手法が一つ効かなくなると、富裕層は必ず代わりの手を探します。そのとき頼りにされるのは、最新のルール変更を正しく理解しているプロです。
注意したいのは、私たちは税理士ではないので、具体的な節税額を断言してはいけない点です。あくまで『制度が変わる流れ』を伝え、必要なら税理士につなぐ姿勢が大切になります。
最後に、この知識をエージェントとしてどう強みに変えればいいか教えてください。
まず『2027年1月に相続の評価ルールが変わり、小口化での節税が通用しにくくなる』という事実を、お客様に先回りして伝えられることが差別化になります。富裕層は情報に敏感で、こうした変化を早く教えてくれる担当者を信頼します。
そのうえで、節税一辺倒ではなく『賃料収入という本来の価値』で収益物件を提案できれば、相談の幅が広がります。税の専門家と連携しながら、資産全体の設計に寄り添える窓口になる——これこそが、ルール改正をチャンスに変えるエージェントの立ち位置です。
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