中古マンション『売り出し価格は上昇、成約は頭打ち』1年で2割下落物件も
1年で2割値下げも 「中古マンション市場」の異変…高値販売に顧客がそっぽ、「転売ヤー」の誤算も 2ページ目 | ビジネス - 東洋経済オンライン(7月22日, 東洋経済オンライン)
この記事の要約
首都圏の中古マンション市場で異変が起きています。東日本不動産流通機構のデータによれば、2026年に入っても売り出し価格は上昇を続ける一方、実際に売れた成約価格は2025年から頭打ちになっているのです。売り手の「強気」に、買い手が付いてこられなくなっている構図です。 東洋経済がマンションレビューのデータを基に70㎡換算で騰落率を分析したところ、地域や物件による差が大きく、中には1年で価格が2割下がった物件も出ています。高値を狙った売り出しに顧客がそっぽを向き、転売目的の投資家にも誤算が生じている状況がうかがえます。 隣り合うエリア同士でも「格差」が広がっており、市場が一律の右肩上がりから、選別が進む局面へと移りつつあることを示しています。
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売り出し価格は上がっているのに、成約価格は頭打ちってどういうことですか。値段が上がっているなら、みんな高く売れているんじゃないんですか。
ここは混同しやすいポイントです。まず結論から言うと、「売り出し価格」は売り手が希望する値札、「成約価格」は実際に取引が成立した値段です。この2つはまったく別物です。
つまり今の首都圏では、売り手が「これくらいで売りたい」と高い値札を付け続けている一方で、買い手が「その値段では買わない」と言っている。だから値札は上がっても、実際に成立した金額は伸びていないんです。
なるほど。でも売り手はなぜそんなに強気なんですか。売れないなら値下げすればいいのに。
ここ数年、マンション価格が一本調子で上がってきた「成功体験」が大きいんです。売り手からすれば、「去年より高く出しても売れるはず」という感覚が残っている。
加えて、住宅ローンの金利がまだ低く、建築費や人件費も高止まりしているので、新築が高い。その新築が高いと、中古も釣られて強気になりやすいんです。売り手はなかなか値下げに踏み切れません。
でも買い手は付いてこなくなっている。買い手の側には何が起きているんですか。
買い手の「値ごろ感」が限界に達したというのが実態です。給料の伸びよりも住宅価格の上昇が速すぎて、返せる金額を超えてきた。
わかりやすく言うと、年収は少ししか増えていないのに、物件の値段は倍近くになったイメージです。そうなると、いくら金利が低くても「これ以上のローンは組めない」という人が増えます。だから高値の物件が売れ残るわけです。
記事に出てくる『転売ヤーの誤算』というのは何ですか。
転売目的で買った投資家が、想定どおりに高く売れなくなっている、という話です。彼らの前提は「買った時より高く売れる」こと。値上がりが続く前提でした。
ところが成約価格が頭打ちになると、その前提が崩れます。高く仕入れた物件を、買ったときと同じか安い値段でしか売れない。中には1年で2割下げてやっと手放す例も出ている。これが「誤算」の中身です。
隣同士のエリアで『格差』が出ているというのも気になります。近い場所なのに、そんなに差が出るものですか。
出ます。ここが今の市場の一番の特徴で、「一律の値上がり」から「選別」の局面に変わったということです。
たとえば駅から近い、再開発が進む、学区が人気、といった条件のそろったエリアは値持ちする。逆に、少し離れただけ、あるいは築古で管理状態が悪い物件は買い手が慎重になり、下がりやすい。隣町でも中身が違えば結果は大きく分かれます。
この状況、賃貸や売買の現場にはどう波及するんですか。
まず売買では、「売れない売り主」が増えます。高い値札のまま市場に滞留する物件が積み上がり、成約までの期間が延びる。値下げ交渉の余地が生まれるので、買い手には久しぶりにチャンスが来ます。
賃貸への波及も見逃せません。買うのをためらう層が賃貸に流れれば、良質な物件の家賃には下支えが効きます。つまり「売れないから貸す」という選択をするオーナーも増える可能性があるということです。
エージェントとしては、こういう変化をどう仕事に活かせばいいんでしょうか。
まず売り主対応では、「売り出し価格」と「成約価格」の乖離データを見せて、現実的な値付けへ導くことです。感覚ではなく数字で説得できる担当者は信頼されます。地域や物件ごとに騰落率が割れている今こそ、細かいエリア分析が武器になります。
買い主には、値下げ交渉のチャンスが来ていることと、値持ちする条件を見極める目を提供できます。そして賃貸なら、売れ渋りオーナーに「貸す」という選択肢を提案できる。市場が一律でなくなった今、『物件ごとの目利き』と『データに基づく現実的な助言』ができるエージェントこそが、他社と差別化できる決定的な強みを持てるのです。
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