首都圏中古マンション、成約5067万円で19カ月ぶり下落。なぜ在庫価格は+30%なのか
この記事の要約
東日本不動産流通機構によると、2026年5月の首都圏中古マンションの平均成約価格は5067万円となり、前年同月比でマイナス4.6%。これは2024年10月以来、19カ月ぶりの下落です。高値圏ではあるものの、価格上昇一辺倒の流れに変化が出てきました。 背景には、価格高騰による買い手の負担増と、住宅ローン金利上昇への警戒感があります。買い手が慎重になる一方で、売り手はなお強気。同月の平均在庫価格は6643万円で前年比プラス30.3%と大幅上昇し、売り手の希望と買い手の許容額の差が広がっています。 結果として東京都心部では在庫が積み上がり始めています。実際に売れる価格と、売りに出ている価格が乖離する「ダブつき」が、市場の見えにくいリスクとして浮かび上がっています。
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記事を見て混乱しました。成約価格は下がったのに、在庫価格は30%も上がっているって、矛盾していませんか?
矛盾しているように見えますが、実は別々の数字なんです。成約価格は「実際に売れた物件の値段」、在庫価格は「いま売りに出ている物件の希望価格」です。
つまり、売り手は強気の値付けで市場に出すけれど、買い手はその値段では買わない。だから売れずに残った高い物件が在庫に積み上がり、在庫価格の平均だけが押し上げられているわけです。
なるほど。では、なぜ売り手はそんなに強気なんですか?
きっかけは2024年半ば以降の新築マンション価格の急騰です。新築が高くなると、その近くの中古も連動して上がりやすい。それを見た所有者が「今なら高く売れる」と判断して、続々と売り出したと考えられます。
しかも2024年から2025年前半までは、その強気の値付けが実際に通っていました。成功体験があるので、売り手は値下げに踏み切りにくいのです。
でも買い手は急に慎重になった。何が変わったのでしょう?
大きいのは住宅ローン金利の上昇への警戒です。金利が上がると、同じ物件でも毎月の返済額が増え、買える総額の上限が下がります。
加えて価格そのものが高止まりしているので、買い手の負担は二重に重くなっている。需要が消えたわけではなく、「この値段では無理」と立ち止まる人が増えた、という状態です。
売り手と買い手の差が広がると、現場ではどんなことが起きますか?
まず売却にかかる期間が長くなります。強気の値付けのまま市場に置くと、内見は入っても成約に至らず、ずるずると在庫になっていきます。
この「売れ残り」が増えるのが、記事の言う都心部の在庫のダブつきです。在庫が積み上がると、いずれ我慢できなくなった売り手から値下げが始まり、成約価格の下落圧力につながっていきます。
賃貸の現場にも関係しますか?売買の話に見えますが。
関係します。売っても希望価格で売れないと判断したオーナーは、「では当面は貸そう」と賃貸市場に物件を回すことがあります。これが都心の賃貸供給を増やす要因になります。
逆に、買えない人が賃貸にとどまる動きもあり、賃貸需要も底堅い。売買が詰まると、その圧力が賃貸に流れ込む、という連動を意識しておくと現場の読みが深まります。
エージェントとしては、この状況をどう価格交渉に活かせますか?
売り主側を担当するなら、在庫価格ではなく直近の成約価格を根拠に、現実的な値付けを提案できます。高すぎる設定は売却期間を延ばすだけだと、データで丁寧に説明することが信頼につながります。
買い主側なら、在庫が積み上がっている今は交渉の余地が広がっている局面だと伝えられます。長く売れ残っている物件ほど、値下げを引き出しやすいタイミングです。
お客さんに説明するとき、一番気をつける点は何でしょう?
「マンション価格は高騰中」という見出しだけで判断しないことです。成約価格は下がり始めており、表面の数字と実態がずれていることを丁寧に伝えるべきです。
ただし高値圏であること自体は事実なので、相場が崩れると断言するのも禁物。あくまで「上昇一辺倒から転換しつつある」という冷静な温度感で語るのが誠実です。
最後に、この知識はエージェントの強みになりますか?
大いになります。多くの人が「価格高騰」というイメージで止まっている今だからこそ、成約価格と在庫価格を分けて読み解き、在庫のダブつきという裏側まで説明できるエージェントは際立ちます。
具体的には、売り主には現実的な値付けで早期成約を、買い主には交渉余地のある今を狙う提案を、それぞれデータで示せる。表面の数字ではなく市場の力学を語れることが、価格競争に巻き込まれない最大の差別化になります。
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