区分所有法改正で管理規約が一斉改正、なぜ管理会社は“塩対応”なのか
マンション管理の根本規範「管理規約」が空前の改正ラッシュ、現場で起きている大混乱のなぜ…管理会社が協力しない“塩対応”も続出 - ダイヤモンド・オンライン(8月2日, ダイヤモンド・オンライン)
この記事の要約
2025年5月に区分所有法が改正され(施行は26年4月)、これを受けて25年10月に国土交通省の標準管理規約も改正されました。全国のマンション管理組合が今、一斉に管理規約の改正を迫られており、業界は空前の改正ラッシュとなっています。 今回が過去と違うのは、規約を改正しないと法律の規定と食い違いが生じる点です。これまでは「改正しなくても当面困らない」ものが多かったのですが、今回は放置できません。 ところが頼みの綱である管理会社が、規約改正のサポートを限定的にしか行わなかったり、一切引き受けないという「塩対応」も出ています。現場では対応を巡って混乱が広がっています。
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そもそも「管理規約」って何ですか。今回、全国のマンションで一斉に改正しているって、そんなに大ごとなんでしょうか。
管理規約は、そのマンションの管理の全ての基本となる決まりごとです。いわば「マンションの憲法」のようなもので、修繕や総会の運営、共用部の使い方まで、あらゆるルールの土台になります。
今回が大ごとなのは、国の法律である区分所有法が改正され、それに合わせて規約も直さないと法律と食い違ってしまうからです。放置すると規約が法律違反状態になりかねません。
これまでも規約の改正はあったんですよね。今回は何がそんなに違うんですか。
結論から言うと、今回は「改正しないと困る」改正だからです。過去の改正の多くは、国が用意したひな型が新しくなっても、各マンションが必ず追随する必要はありませんでした。
たとえるなら、これまでは「オススメの新しいルールが出ましたよ」という案内でした。今回は「法律が変わったので、あなたの規約も直さないと矛盾しますよ」という強制に近い話です。ここが決定的に違います。
規約を変えるのって、そんなに手間がかかるものなんですか。管理会社に任せればいいのでは。
規約の改正は、原則として総会で区分所有者の4分の3以上の賛成が必要な、非常にハードルの高い手続きです。多くの住民に内容を理解してもらい、賛成を集めなければなりません。
改正案の作成、住民への説明、総会での議決と、どれも専門知識と手間がかかります。だからこそ、これまで管理会社に丸投げしてきた組合が多かったのです。
その頼みの綱の管理会社が「塩対応」って、どういうことですか。なぜ協力しないんでしょう。
背景には、管理会社側の人手不足とコストの問題があると考えられます。全国で一斉に改正需要が発生したため、限られた担当者ではとても対応しきれないのです。
加えて、規約改正は本来の管理委託契約の範囲外になりがちで、追加報酬なしでやる義理はないという判断もあります。近年は管理会社が採算の悪い業務を絞る「選別」の流れもあり、その延長線上の対応とも言えます。
管理会社が動いてくれないと、管理組合は自力でやるしかないんですか。それは大変そうです。
自力対応か、外部の専門家に頼るかの二択になります。理事会だけで法律に沿った規約案を作るのは現実的に難しいケースが多いです。
そこで選択肢になるのがマンション管理士など外部の専門家です。ただし当然費用がかかりますし、頼れる専門家を組合が自分で探さなければならない点も新たな負担になります。
これって、私たち賃貸や売買のエージェントの仕事に何か関係してくるんですか。
大いに関係します。まず売買の現場では、規約が法律に合わせて改正済みかどうかが物件の管理状態を測る指標になります。改正が進まず管理会社ともめている物件は、管理不全の予兆と見ることもできます。
賃貸でも、規約改正で共用部のルールやペット・民泊などの扱いが変わる可能性があります。オーナーや入居者への説明に影響するので、内容の把握は無駄になりません。
買主や投資家には、具体的にどんな点を確認するよう伝えればいいですか。
まず「区分所有法改正に合わせた規約改正が済んでいるか、予定はあるか」を管理組合や管理会社に確認するよう促してください。総会の議事録を見れば進捗が分かります。
もし管理会社が改正に非協力的なら、その組合は今後、大規模修繕など重要な意思決定でも苦労する可能性があります。管理の質を見抜く重要なチェックポイントになります。
なるほど。規約の話が、実は物件選びの目利きにつながるんですね。
その通りです。今回の改正ラッシュは、管理組合の運営力と管理会社との関係性が浮き彫りになる絶好の機会です。エージェントがこの動きを理解していれば、物件の「見えないリスク」を早期に説明できます。
「この物件は規約改正まで済んでいて管理体制がしっかりしています」と根拠を持って語れることは、他社との明確な差別化になります。制度の背景まで押さえた提案こそ、プロとして選ばれる決め手になるのです。
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