不動産×ゼネコンが史上初「協議会」、建設費高騰で再開発停滞の裏側
史上初、不動産業界と建設業界が「協議会」設置 両団体トップに聞く - 日本経済新聞(8月5日, 日本経済新聞)
この記事の要約
デベロッパーが加盟する不動産協会と、ゼネコンが加盟する日本建設業連合会(日建連)が、建設費高騰への対策を話し合う協議体を史上初めて立ち上げました。発端は、昨年11月に不動産協会が建設業界へ送った「緊急申し入れ書」でした。 背景には、この2〜3年で進んだ円安や資材高、そして深刻な人手不足があります。工事費が想定を超えて膨らみ、全国で再開発プロジェクトが止まったり、工事の断念が相次いだりしています。 本来は発注する側(不動産)と受注する側(建設)という立場の違いがある両者ですが、対立ではなく協力へと舵を切りました。生産性向上や担い手確保など、業界の垣根を越えた議論が始まっています。
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ニュースで『不動産と建設が史上初の協議会』って見たんですけど、正直よくわかりません。この2つの業界って、もともと一緒に仕事してるんじゃないんですか?
いい質問です。たしかに一緒に仕事はしますが、立場が正反対なんです。デベロッパー(=マンションやビルを企画する会社)は工事を『発注する側』、ゼネコン(=実際に建てる建設会社)は『受注する側』です。
つまり片方は『安く早く建てたい』、もう片方は『適正な値段で受けたい』という関係。値段をめぐって利害がぶつかりやすいんですね。その両者がテーブルを囲むこと自体、これまでほとんどなかったんです。
利害がぶつかる相手同士が、なぜわざわざ手を組むことにしたんでしょう?よほどのことがあったんですか?
結論から言うと、建設費の高騰が『どちらか一方では解決できないレベル』になったからです。この2〜3年で円安による資材高、それに人手不足が重なりました。
たとえば計画時に100億円で見込んでいた工事が、着工の頃には130億円に膨らむ、といったことが各地で起きています。発注側が値切っても建てられないし、受注側も無理に安く受ければ赤字。だから対立している場合ではなくなった、というわけです。
工事費が上がると、具体的にどんな困ったことが起きるんですか?
一番わかりやすいのが『再開発の停滞』です。駅前の大型ビルやタワーマンションの計画が、費用が合わずに止まったり、工事そのものを断念したりするケースが全国で相次いでいます。
事業として採算が取れなくなると、計画は前に進みません。街のリニューアルが遅れ、新しい物件の供給も減る。結果的に、私たちが扱う賃貸や売買の『タマ(=物件在庫)』にも影響してくるんです。
新築が減ると、賃貸や中古の現場ではどんな変化が出るんでしょうか?
まず新築の供給が細ると、相対的に既存物件の価値が上がりやすくなります。新築が高すぎて手が出ない層が、中古や築浅の賃貸に流れてくるからです。
賃貸でいえば、新築マンションの家賃は建設費を回収するために高く設定されがちです。すると周辺の既存物件の家賃も引っ張られて上がる傾向が出ます。『新築が減る=安くなる』ではなく、むしろ全体が高止まりしやすい点は押さえておきたいところです。
協議会では具体的に何を話し合うんですか?値段の交渉をするわけではないですよね?
おっしゃる通り、価格そのものの談合はできません。焦点は大きく2つ、『生産性向上』と『担い手の確保』です。
生産性向上は、工期を短くしたり無駄をなくして、同じ建物をより効率よく建てる工夫のこと。担い手確保は、建設現場で働く人を増やし、若手が定着する環境をつくる話です。ここを両業界で協力すれば、コストの膨らみを少しでも抑えられる、という狙いです。
人手不足って、そんなに深刻なんですか?お金を出せば人は集まりそうな気もしますが。
それが単純にはいかないんです。建設業は高齢化が進み、若い人が入ってきにくい構造があります。加えて2024年からは残業時間の上限規制も始まり、同じ人数では従来ほど働けなくなりました。
つまり『お金で解決』では追いつかず、働き方や教育の仕組みごと変える必要がある。だからこそ発注側のデベロッパーも当事者として一緒に考えざるを得なくなった、ということです。
こういう業界の大きな動きを、現場のエージェントはどう活かせばいいんでしょう?お客様には遠い話に感じます。
遠い話に見えて、実はお客様への説明力に直結します。たとえば『なぜ新築の家賃や価格が下がらないのか』を、建設費高騰と供給停滞という背景から語れると説得力が段違いです。
賃貸なら『今の家賃水準はしばらく下がりにくい』という見立てを根拠付きで示せますし、売買なら『新築が減る分、立地の良い中古の価値は保たれやすい』という提案ができます。
業界ニュースを『自分の言葉でお客様の意思決定に翻訳できる』ことこそ、他のエージェントとの決定的な差別化になります。数字の裏にある構造まで語れる担当者は、必ず信頼されますよ。
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