定借マンション2026年過去最多へ、なぜ地主は土地を売らない?
定借マンションが増える事情 土地を売らない地主、薄れる持ち家志向 - 日本経済新聞(7月8日, 日本経済新聞)
この記事の要約
期限付きで土地を借りて建てる「定期借地権付きマンション」(=一定期間だけ土地を借り、期限が来たら更地にして地主へ返す契約のマンション)の供給が急増し、2026年は過去最多になる見通しです。新築マンション全体の供給は細っているのに、定借だけが伸びているのが特徴です。 背景には、土地を売ると重い税負担が生じるため手放したくない地主の事情があります。加えて、買い手側でも「一生ものの持ち家」にこだわらない人が増え、期限付きでも割安に住めるならと受け入れる層が広がっています。 一方で購入者は、通常の管理費や修繕積立金に加えて地代を払い続ける必要があり、資産価値の目減りにも注意が要ります。エージェントには制度の正確な理解が求められます。
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定期借地権付きマンションって最近よく聞きますが、そもそも普通のマンションと何が違うんですか?土地を借りるって、ちょっと不安な感じもします。
いちばんの違いは「土地が自分のものにならない」点です。普通の分譲マンションは建物と土地の権利をセットで買いますが、定借は土地を地主から一定期間だけ借りる仕組みです。
多くは50年程度の契約で、期限が来たら建物を壊して更地にし、地主に返します。つまり最初から『いつか終わる住まい』であることが前提なんです。
いつか返さないといけないなんて、買う人にとっては損に聞こえます。それなのに2026年に過去最多まで増えているのは、なぜなんでしょう?
理由は供給する側と買う側、両方にあります。まず地主側は、土地を売ってしまうと譲渡益に重い税金がかかります。売らずに貸すだけなら土地を手放さず、地代という安定収入を長く得られるんです。
土地を代々守りたい地主にとって、定借は『売らずに活用する』ちょうどいい手段になっています。だから優良な土地でも定借として市場に出てくるようになりました。
なるほど、地主にとっては都合がいいんですね。でも買う人はどうして期限付きでも選ぶんですか?
買い手側では『持ち家志向の希薄化』が進んでいるからです。昔は家を買って子や孫に残すのが当たり前でしたが、今は自分たちの世代で住み切れればいいと考える人が増えています。
定借は土地代がかからない分、同じ立地でも販売価格が割安になりやすい。良い場所に手が届く価格で住めるなら、期限付きでも十分だと考える層が広がっているんです。
割安なのは魅力的ですね。でも安いなりのデメリットもあるんじゃないですか?
その通りで、ランニングコスト(=住み続ける間ずっとかかる費用)に注意が必要です。定借では通常の管理費や修繕積立金に加えて、地主に払う『地代』が毎月かかります。
さらに契約終了に近づくほど資産価値が下がる傾向があります。残り年数が短くなると売りにくく、住宅ローンも組みにくくなる。買うときの安さだけで判断すると後で困る可能性があります。
価値が下がっていくって、投資というより『住むための期間限定サービス』みたいな感覚ですね。売りたくなったときはどうなるんですか?
まさにその感覚が近いです。中古で売る場合、残りの契約年数がそのまま価値に直結します。残り30年より残り45年のほうが当然売りやすいわけです。
一部では『残り35年あたりで価値がピークになる』という見方もあります。つまり出口(=売却タイミング)を意識した資金計画が、普通のマンション以上に重要になります。
買う前に将来の出口まで考えないといけないんですね。賃貸の現場にも何か影響はありますか?
あります。定借マンションは購入をためらう人が一定数いるため、賃貸に回る部屋も出やすい。オーナーが自分で住まず貸すケースも想定されます。
また『いつか終わる住まい』を許容する層の増加は、賃貸市場全体の追い風でもあります。持ち家にこだわらない人が増えれば、良質な賃貸への需要が長く続くという読みができます。
買う人も貸す人も、両方に関わってくる話なんですね。私たちエージェントは、これをどう活かせばいいんでしょう?
定借は『割安』という強い魅力と、『地代・期限・価値減少』というわかりにくいリスクが同居する商品です。ここを正確に噛み砕いて説明できるかが、そのまま担当者の信頼になります。
具体的には、月々の総支出(地代込み)と、残り年数から逆算した売却シナリオをセットで提示しましょう。『安い理由』と『出口の考え方』まで示せるエージェントは、価格だけを語る競合と明確に差別化できます。定借を敬遠せず、顧客のライフプランに合わせて提案できる専門性こそが、これからの武器になります。
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