マンション購入は年収上位20%の特権?令和の住宅アフォーダビリティー危機
マンション買えるのは年収上位20%だけ? 賃貸も手ごろじゃない - 日本経済新聞(8月3日, 日本経済新聞)
この記事の要約
日本経済新聞の連載「令和住宅物語」が、住宅の『アフォーダビリティー(=価格の手ごろさ)』をテーマに、都市部でマンションを買えるのは誰なのかを問うています。記事によれば、住宅価格の高騰が続き、世帯年収が1000万円近い層でさえ購入に踏み出すのが難しく、実質的に買えるのは年収上位20%程度に限られる状況になりつつあると指摘されています。 さらに問題は購入だけにとどまりません。賃貸も決して手ごろとは言えず、特に東京23区では70平米以上の家族向け賃貸が全体の1割未満という『そもそもない』問題が浮かび上がっています。買うにも借りるにも壁がある、令和の子育て世帯の焦燥と諦めが背景にあります。 世界的に注目される『アフォーダビリティー』という視点から、日本の住宅市場が平均的な所得層にとって適正な状態にあるのかが改めて問われています。
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最近『マンションが高すぎて買えない』ってよく聞きますが、年収1000万円近くあっても買えないって本当なんですか?そんなに稼いでいれば余裕がありそうなのに、なぜですか?
結論から言うと、都市部では本当に厳しくなっています。理由は単純で、住宅価格の上昇スピードが所得の伸びを大きく上回ってきたからです。
たとえば都心の新築マンションは、この10年で価格が大きく跳ね上がりました。一方で給料はほとんど増えていない。だから年収1000万円でも、住宅ローンの返済比率(=年収に占める返済額の割合)が無理な水準になってしまうんです。
記事のタイトルにある『年収上位20%だけ』というのは、どういう意味なんでしょうか。上位20%ってかなり限られた人たちですよね。
その通りで、要するに『ごく一部の高所得層しか買えない資産になりつつある』ということです。かつてマンションは中流の共働き世帯が手を伸ばせる存在でした。
それが今は、ペアローン(=夫婦二人でローンを組むこと)を組んでも、上位2割の世帯でようやく届くかどうか。普通に働く人が普通の住宅を買う、という前提が崩れかけているわけです。
買えないなら賃貸でいいのでは、とも思うのですが、記事では賃貸も手ごろじゃないと書かれていますね。なぜ賃貸まで難しいんですか?
賃貸の問題は『価格』だけでなく『広さ』にあります。連載でも触れられていますが、東京23区では70平米以上の家族向け賃貸は全体の1割未満とされています。
つまり、子育て世帯が住める広さの賃貸が、そもそも市場にほとんどない。狭い部屋なら数はあっても、家族4人が暮らせる広さになると急に選択肢が消える。これが『そもそもない問題』です。
どうして家族向けの広い賃貸が少ないんですか?需要はありそうなのに。
大家さん側の採算の問題が大きいです。広い部屋を1つ貸すより、同じ床面積でワンルームを複数作って貸したほうが、家賃の合計が高くなり利回りが良くなるんです。
だから投資目的の賃貸は単身向けに偏ります。結果として、家族向けの広い物件は分譲マンション、つまり『買う』方向に流れ、賃貸には残りにくい。買えない人が借りようとしても受け皿がない、という構造です。
この『アフォーダビリティー』という言葉、最近よく見ますが、なぜ今これが世界で注目されているんでしょう?
住宅が『暮らしの基盤』から『投資対象』に変わってきたからです。世界的な金余りで不動産にお金が集まり、実際に住む人の所得と価格が切り離されてしまった。
米国でも中流層が買えない過去最悪水準といわれ、日本や欧州も予算超過が常態化しています。だから『住む人が無理なく買える・借りられるか』という物差し=アフォーダビリティーが、政策や市場を評価する共通言語になっているんです。
現場のエージェントとしては、こういう大きな話をどう仕事に活かせばいいんでしょうか。顧客に『高いですね』と共感するだけでは終われませんよね。
まず大事なのは、顧客の『諦め』や『焦り』を正しく言語化してあげることです。多くの子育て世帯は『自分の稼ぎが足りないのでは』と自分を責めがちですが、実は構造的な問題だと伝えるだけで信頼が生まれます。
その上で、23区内の70平米以上という王道から一歩ずらした提案が武器になります。たとえば少し郊外で広さと価格のバランスを取る、あるいは中古+リノベで手ごろさを確保する、といった代替ルートを具体的に示せるかどうかです。
なるほど。買う・借りるの二択で行き詰まっているお客さんに、第三の道を見せられると強いですね。
その通りです。『買えるのは上位20%』という現実を前提に、残り8割の世帯にどう住まいを届けるかを考えられるエージェントが、これからは選ばれます。市場データを『高い・安い』で語るのではなく、顧客の年収とライフプランに落とし込んで『あなたにとっての手ごろさ』を設計してあげる。
家族向け賃貸の希少性や中古市場の動きまで押さえておけば、単なる物件紹介係ではなく『住まいの相談相手』として差別化できます。アフォーダビリティーという視点を持つこと自体が、今後の営業の最大の武器になります。
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