都心6区マンション、上位は+47%・下位は-33%へ格差拡大
都心6区中古マンション、広がる格差 選別がより重要に - 日本経済新聞(7月5日, 日本経済新聞)
この記事の要約
日本経済新聞に、不動産コンサルタント田中歩氏による都心6区中古マンション市場の分析記事が掲載されました。売り主の希望価格である販売価格は横ばい報道もありますが、実際に取引が成立した「成約価格」で見ると、2026年5月は前月から下がったものの前年より高く、12カ月平均でも上昇基調が続いているとされます。 記事の核心は、同じ都心6区の中でも物件ごとの評価差が広がっている点です。標準的な価格に対する上乗せ(価格プレミアム)は、上位5%が2022年末の約37%から25年にかけて約47%へ、下位5%は約27%低い評価が約33%低い評価へと拡大しました。 平均価格だけでは見えない「選別」が進んでおり、どんな物件が選ばれるかを読む力が今後の市場理解に不可欠、というのが記事の結論です。
専門家がニュースをわかりやすく解説!
「都心6区のマンション価格が横ばいになった」というニュースを見たのですが、この記事だと上がっているとありますね。どちらが本当なんでしょうか?
どちらも間違いではなく、見ている数字が違うんです。まず「横ばい」と言われるのは、売り主が「この値段で売りたい」とつけた希望価格(=販売価格)のことです。
一方で記事が使っているのは、実際に買い手と売り手の間で取引が成立した「成約価格」です。希望価格は高止まりしていても、実際に売れた値段は別に動くことがあります。この記事では成約価格ベースだと、まだ上昇基調が続いていると分析しています。
希望価格と成約価格って、そんなに違うものなんですか?
はい、市場が転換するときほど、この2つはずれます。値上がりが止まりかけている局面では、売り主はまだ強気の値段を残しているのに、買い手はもう慎重になっている、ということが起きます。
だから販売価格だけを見ると「横ばい=落ち着いた」と誤解しやすい。実際に成約したデータまで追わないと、市場の本当の温度はわからないんです。ここは実務でとても大事な視点です。
でも5月は前月より下がったとありますよね。これはもう天井のサインでは?
単月の下げだけで判断するのは危険です。中古マンションの成約データは、その月にどんな物件がたまたま多く売れたかで数字が大きく振れます。
だからこそ記事は「12カ月平均」を見ています。1年分をならすと4月から5月にかけてむしろわずかに上がっていて、下落トレンドとは言い切れない。1カ月の上下に一喜一憂しないことが、お客様への説明でも信頼につながります。
記事でいちばん驚いたのが「格差が広がっている」という話です。同じ都心6区なのに、なぜ差が開くんでしょう?
ここが今回の一番のポイントです。築年数や広さ、駅からの距離、エリアといった条件をそろえて比べても、なお「高く評価される物件」と「安く評価される物件」の差が開いている、という分析結果です。
つまり条件が同じでも、選ばれる物件だけがさらに高く買われている。上位5%は標準価格より約47%高く、下位5%は約33%も安く評価されるところまで差が広がりました。
条件が同じなら値段も似るはずなのに、何がその差を生んでいるんですか?
記事も、ブランド(人気のマンションシリーズかどうか)、眺望、そして管理状態を要因として挙げています。とくに管理は差がつきやすいです。
たとえば同じ築年数でも、修繕がきちんと計画され、共用部が清潔で、管理組合がしっかり機能しているマンションは、安心して長く住めると評価されます。逆に管理が行き届かない物件は、買い手が将来の修繕費を不安に感じて値段を抑える。この「見えにくい質」が価格差になって表れているんです。
買い手がそこまでシビアに見るようになったのは、何か理由があるんですか?
価格が高くなった分、失敗できないという心理が強まっているからです。1億円近い買い物になると、少しでも将来値下がりしそうな物件は避けたい。
そうなると「間違いのない物件」に買いが集中し、そこだけがさらに値上がりします。一方で不安の残る物件は敬遠され、下がる。結果として二極化が進むわけです。金利が上がりつつある環境も、この慎重さを後押ししています。
この二極化は、都心6区だけの話なんでしょうか?
記事は、外周区やさらに外側のエリアでも同じことが起きている可能性を指摘しています。ただ現れ方は逆かもしれません。
都心6区では「上位が突出して高くなる」形で差が出ましたが、郊外では「下位がより厳しく買いたたかれる」形で差が出るおそれがあります。エリアごとに二極化の顔つきが違う、という視点は押さえておきたいところです。
賃貸の現場にも、この動きは関係してきますか?
大いに関係します。売買で「選ばれる物件・選ばれない物件」の差がつくということは、賃貸でも同じ物件の入居付けやすさや家賃水準に差が出るということです。
管理が良く評判の良いマンションは、賃貸に出しても入居者がつきやすく家賃も保ちやすい。逆に管理の弱い物件は空室リスクや家賃下落のリスクが高い。オーナーへの提案でも、この見極めがそのまま収益力の話につながります。
私たちエージェントは、この情報をどう活かせばいいでしょうか?
結論から言うと、「平均価格を語る人」から「その物件の実力を語れる人」へ切り替えることが差別化になります。お客様は『都心は上がってますよ』という一般論なら、ネットでいくらでも読めます。
そこで一歩踏み込み、成約価格ベースで実際の相場を示し、この物件が上位に入るのか下位に入るのかを、管理状態・修繕計画・ブランド・眺望といった要素で具体的に説明できると、信頼は一気に高まります。
さらに『この物件は将来も選ばれ続けるか』という長期の視点まで語れれば、単なる仲介者ではなく資産アドバイザーとして選ばれます。二極化が進む時代だからこそ、物件を選別できる目こそがエージェント最大の武器になるのです。
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