東京の中古マンション、28カ月ぶり下落——上昇局面は終わったのか?
中古マンション市場、転換点 都心、上昇から調整局面へ - 朝日新聞(9月24日, 朝日新聞)
この記事の要約
高騰が続いていた東京都の中古マンション市場に、変化の兆しが出てきました。不動産調査会社・東京カンテイによると、8月の中古マンションの売り出し平均価格(70平方メートル換算)が28カ月ぶりに下落したとのことです。 同社の研究員は、中古マンション市場が「上昇局面から調整局面への転換点にある」と指摘しています。ここ数年、都心を中心に右肩上がりが続いてきた相場が、いったん踊り場に差し掛かった可能性があります。 ただし、下落とはいえ一時点の売り出し価格の変化であり、暴落の前触れと断定できるものではありません。エージェントにとっては、市場の潮目を読み、売り主・買い主双方への説明を丁寧に組み立てる好機といえます。
専門家がニュースをわかりやすく解説!
28カ月ぶりに下がったってニュースになってましたけど、そんなに大きな話なんですか?ずっと上がってたイメージがあります。
大きな話です。ポイントは「28カ月ぶり」という長さです。2年以上ずっと上がり続けていた相場が、初めて反転したという意味だからです。
ただし注意したいのは、これは『売り出し価格』つまり売り主が最初に提示した希望価格の平均だという点です。実際に成約した価格ではないので、市場の空気が変わり始めたサインと捉えるのが正確です。
売り出し価格と成約価格って、そんなに違うものなんですか?
違います。売り出し価格は売り主の『これで売りたい』という希望値です。買い手が強い時期は希望通り、あるいは値上げして売れますが、需要が弱まると値下げしてようやく成約します。
つまり売り出し価格が下がり始めたということは、売り主側も『強気ではもう売れない』と感じ始めた証拠です。現場の温度感が変わったことを示す先行指標なんです。
なぜこのタイミングで潮目が変わったんでしょう?何が効いているんですか?
複数の要因が重なっていると考えられます。まず金利です。住宅ローンの金利が上がると、同じ返済額で借りられる金額が減り、買える価格の上限が下がります。
次に価格そのものが上がりすぎたことです。都心のマンションは、平均的な世帯年収で買える水準を大きく超えてきました。買える人が減れば、いくら高く出しても売れず、価格が頭打ちになるわけです。
じゃあ、これから一気に値下がりしていくと考えていいんですか?
そこは慎重に見るべきです。『調整局面』という言葉は、暴落ではなく『上がりすぎた分がいったん落ち着く』というニュアンスで使われることが多いんです。
特に都心の一等地や築浅、駅近といった人気物件は、買いたい人が常にいるので下がりにくい。一方で、郊外や築古、駅から遠い物件は、需要が細ると真っ先に価格が緩みます。つまり市場全体が一様に下がるのではなく、二極化が進むと見るのが現実的です。
エリアや物件によって差が出るんですね。売りたいお客さんには、どう説明すればいいですか?
まず『相場の潮目が変わり始めている』という事実を、データで冷静に伝えることです。強気の売り出し価格に固執すると、売れ残って結果的に大きく値下げする羽目になりかねません。
そのうえで、その物件が下がりにくいタイプか、緩みやすいタイプかを見極めて、価格戦略を提案する。『今なら比較的高く売れる時期の終盤かもしれない』という視点は、売り主にとって説得力のある背中の一押しになります。
逆に、買いたいお客さんにはどう伝えると親切でしょうか?
買い主には『焦って高値づかみしなくてもよい局面に入りつつある』と伝えられます。売り出しから時間が経った物件は値下げ交渉の余地が出てきますし、選択肢も増えていきます。
ただし金利が上がると、価格が少し下がっても月々の返済負担は変わらない、あるいは増えることもあります。『物件価格』と『総返済額』の両方で判断するよう助言できると、単なる仲介者を超えた信頼を得られます。
賃貸の現場にも何か影響ってあるんですか?
あります。買うのをためらう人が増えると、その分『まず賃貸で』という需要が厚くなります。特に都心では、買えないから借りるという層が賃料を下支えする構図が強まります。
つまり売買が調整局面に入るほど、良質な賃貸物件のニーズは相対的に高まる可能性がある。売買と賃貸を分けて考えず、両方の動きをセットで説明できると、お客さんの不安に寄り添った提案ができます。
なるほど。こういう転換点の情報を、エージェントとしてどう強みにすればいいでしょう?
結論から言うと、『データを根拠に潮目を語れる人』になることが最大の差別化です。多くのお客さんは『上がってる』『下がってる』という空気だけで動きますが、売り出し価格と成約価格の違い、エリア別の二極化、金利の効き方まで噛み砕いて説明できるエージェントは滅多にいません。
この28カ月ぶりの下落を、ただのニュースで終わらせず、『あなたの物件・希望エリアにとって何を意味するか』へ翻訳して伝える。その一手間が、相場が動く局面ほど『この人に任せたい』という信頼につながり、あなたの指名獲得の武器になります。
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