都心マンション突然の家賃値上げ、家主『安すぎた』は通るのか
都心マンション、突然の「値上げ攻勢」 家主側「物価高騰、家賃安すぎた」 デジタル版 - 朝日新聞(7月13日, 朝日新聞)
この記事の要約
朝日新聞の連載「ジャッジ」が、都心マンションでの家賃値上げをめぐる争いを取り上げました。家主側は「物価高騰でこれまでの家賃が安すぎた」と主張し、値上げに踏み切ったケースです。 近年は建築費や維持管理費の上昇、地価の高止まりを背景に、更新時の家賃引き上げを求める動きが都心部を中心に広がっています。ただし、契約期間中の一方的な値上げには法律上の制約があり、借主が納得しなければ簡単には通りません。 本記事は有料部分が中心で判決の詳細は限られますが、賃料改定の法的な仕組みと、現場のエージェントがどう向き合うべきかを専門家とともに解説します。
専門家がニュースをわかりやすく解説!
最近『都心マンションで突然の値上げ』というニュースを見ました。家主さんが『これまでの家賃が安すぎた』と言って値上げするなんて、そんなことが許されるんですか?
結論から言うと、家主が値上げを『求める』こと自体は認められています。物価や地価が上がれば、賃料を見直したいと考えるのは自然だからです。
ただし『求める』ことと『通す』ことは別問題です。借主が同意しなければ、家主が一方的に金額を決めて押し付けることはできない仕組みになっています。
え、じゃあ借主が『嫌です』と言い続けたら、家賃はずっと上がらないんですか?
そこがポイントです。話し合いで折り合わなければ、最終的には裁判所や調停で『適正な家賃はいくらか』を判断してもらうことになります。
このとき使われるのが借地借家法の『賃料増減額請求』という制度です。簡単に言うと『周りの相場や物価に比べて今の家賃が不相当なら、増額も減額も請求できる』というルールです。
『不相当』かどうかは、誰がどうやって決めるんですか?家主が『安すぎる』と言えば通るわけじゃないですよね。
おっしゃる通り、家主の主張だけでは決まりません。裁判では、近隣の同じような物件の家賃、土地や建物の価格の変動、税金や管理費の上昇などを総合的に見ます。
つまり『物価が上がったから』という漠然とした理由ではなく、数字で『いくらが妥当か』を示せるかが勝負になります。ここが今回のような争いの分かれ目です。
でも家主さんの気持ちもわかります。建築費も修繕費も上がっているのに、昔の安い家賃のままでは赤字ですよね。
その通りで、いま家主側が値上げに動く背景には切実な事情があります。建築資材や人件費の高騰で、修繕や設備更新のコストがここ数年で大きく膨らんでいます。
加えて都心は地価が高止まりし、固定資産税などの負担も増えています。長く据え置いた家賃では収支が合わなくなり、更新のタイミングで見直しを求めるケースが増えているのです。
借主からすると、いきなり『来月から値上げ』と言われたら困りますよね。何かルールはあるんですか?
まず契約期間の途中で、家主が勝手に金額を変えることは原則できません。多くは更新のタイミングで交渉が行われます。
そして値上げに合意できないまま裁判になっても、判決が出るまでは借主はこれまでの家賃を払い続ければ滞納にはなりません。後で増額が認められた分は、差額に利息を付けて精算する形になります。
なるほど。じゃあ焦って言いなりになる必要はないんですね。エージェントとしては、こういう相談にどう答えればいいでしょう?
まず大事なのは、値上げの根拠を『感情』ではなく『データ』で語ることです。家主側につくなら、周辺相場やコスト上昇の資料を揃えて、適正額を客観的に提示できると交渉が有利になります。
借主側につくなら、逆に『相場と比べて本当に不相当なのか』を検証してあげる。感覚論ではなく数字で会話をリードできる担当者は、双方から信頼されます。
両方の立場で使える知識なんですね。今後、こういう値上げの争いは増えていくんでしょうか。
増える可能性は高いと見ています。低金利時代に安く据え置かれた家賃と、上がり続けるコストとのギャップが、これから各所で表面化してくるからです。
だからこそエージェントは『賃料改定は交渉と根拠づけの世界だ』と理解しておくべきです。値上げをただ伝えるのではなく、相場データと法的な仕組みをセットで説明できれば、貸主・借主どちらからも『この人に任せたい』と選ばれる。これが他社と差がつく決定的な武器になります。
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