20代夫妻が返済50年ローンを選ぶ理由。1億円マンションの落とし穴をFPが検証
「借金まみれになるの可能性は低いと…」マンション価格急騰のなか20代夫妻は「返済期間50年」ローンを選択。リスクを【FPが解説】(ピンズバNEWS) - Yahoo!ニュース(7月7日, Yahoo!ニュース)
この記事の要約
首都圏の新築マンション購入者のうち、返済期間36年以上の超長期ローンを選ぶ人が2025年は32.6%に急増した。1年前の11.6%から約3倍だ。背景には都内マンション価格の高騰がある。東京23区の中古マンション平均は70平方メートルで1億2724万円、都心6区なら1億8822万円に達する。 記事では世帯年収1000万円超の20代の新井夫妻を例に挙げる。1億円を変動金利1%・35年返済で借りると月28万円で手取りの半分以上が消えるが、50年返済なら月21万円に下がる。夫妻は価格上昇が続くため残債割れは起きにくいと考え「買うなら今」と判断している。 一方でFPは超長期ローンのリスクにも触れる。金利上昇、返済総額の増加、老後まで残る返済負担、価格が思うように上がらない場合の危うさなど、検証すべき点は多い。
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返済期間50年のローンって初めて聞きました。昔は35年が普通だと思っていたのに、なぜこんなに長い期間で借りる人が増えているんですか?
理由はシンプルで、マンション価格が高くなりすぎたからです。都内では1億円を超える物件が珍しくなくなりました。
同じ1億円でも、35年で返すより50年で返すほうが毎月の支払いは軽くなります。記事の例では月28万円が月21万円まで下がる。手取りに対する負担を減らすために、期間を延ばす選択が広がっているのです。
月7万円も違うなら、長く借りたほうがラクに見えますね。でも、なにか裏があるのでしょうか?
結論から言うと、毎月はラクでも、トータルで払うお金は増えます。借りている期間が長いほど、利息を払う年数も長くなるからです。
たとえるなら、荷物を少しずつ長い距離を運ぶようなもの。1回あたりは軽くても、運ぶ回数が増えれば総労力は大きくなる。50年ローンは月々の軽さと引き換えに、利息の総額という代償を払っているわけです。
でも奥さんは『価格が上がり続けるから、売っても借金は残らない』と考えていますよね。これは正しい判断なんでしょうか?
いまの流れが続けば正しいのですが、それは『上がり続ける』ことが前提の話です。ここが一番のリスクです。
50年ローンは最初のうち、返済額の多くが利息にあてられ、元金がなかなか減りません。つまり借金の残高が減るスピードが遅い。もし価格が下落に転じたら、売っても残債が残る『残債割れ』になる危険が高まります。
残債割れって、売っても借金が残ってしまう状態のことですよね。それはかなり怖いです。
そのとおりです。売却額よりローン残高が多いと、差額を自己資金で埋めないと売れません。
特に超長期ローンは元金の減りが遅いので、購入から10年ほど経っても残高が高いままになりがちです。価格が横ばいでも残債割れになるケースはあり得ます。『上がるはず』という期待だけで判断するのは危ういのです。
この夫妻は変動金利1%で試算していますよね。金利が上がったらどうなるんですか?
金利が上がれば返済額は増えます。ここが50年ローンの二つ目の落とし穴です。
1億円という大きな借金は、金利がわずかに動くだけで返済額への影響が大きい。しかも返済期間が長いほど、金利上昇にさらされる年数も長くなります。1%が2%になっただけでも、月々の負担は数万円単位で跳ね上がる可能性があります。
20代で借りると、返し終わるのは70代や80代になりますよね。老後の生活は大丈夫なんでしょうか?
そこも重要な視点です。住宅ローンは原則80歳までの返済が上限で、20代なら50年ローンが組めますが、裏を返せば老後もずっと返済が続くということです。
定年後は収入が減るのが普通です。年金生活に入ってから毎月21万円を払い続けられるか。繰り上げ返済や、途中売却の計画をあらかじめ持っておかないと、老後に家計が苦しくなる恐れがあります。
共働きで年収1000万円あっても、油断できないんですね。何を確認しておけば安全なんでしょうか?
確認すべきは三つです。まず、どちらか一方の収入が減っても返せるか。共働き前提の返済計画は、育休や転職で崩れやすいからです。
次に、金利が上がっても耐えられる余裕があるか。最後に、途中で売る場合の残債と相場の見通しです。この三点を数字で押さえておけば、感覚ではなく根拠で判断できます。
なるほど。エージェントとしては、こうした話をどうお客様に伝えればいいでしょうか?
50年ローンを『月々が軽い商品』として売るのではなく、『総返済額・金利上昇・老後負担・残債割れ』という4つのリスクをセットで説明できることが、信頼される差別化になります。
特に、購入から10年後・20年後の残高と、その時点で想定される売却価格を試算して見せられると強い。他社が『いま買えます』と背中を押すだけの中で、あなたが数字でリスクと出口戦略まで語れれば、顧客は長く相談したいパートナーとして選んでくれます。
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