東京23区で賃貸割合6年ぶり低さ、なぜオーナーは今『貸すより売る』?
分譲マンションは「貸すより売る」 東京23区で賃貸割合6年ぶり低さ - nikkei.com(7月30日, nikkei.com)
この記事の要約
不動産調査会社の東京カンテイの調べで、東京23区の分譲マンションについて、オーナーが賃貸に出さず売却を選ぶ傾向が強まっていることがわかりました。賃貸に回る割合は6年ぶりの低さになっています。 背景には中古マンション相場の高騰があります。買った価格より高く売れる局面が続き、値上がり益(キャピタルゲイン)を狙って手放すオーナーが増えているとみられます。 一方で、直近では都心の中古価格が3年ぶりに下落する場面も報じられ、相場は高値圏ながら一服感も見え始めています。売る側・貸す側の判断がより難しくなる局面といえます。
専門家がニュースをわかりやすく解説!
「貸すより売る」オーナーが増えているそうですが、そもそもマンションを持っている人って、普通は貸して家賃をもらい続けたいものじゃないんですか?
結論から言うと、今は「売った方が得」と考える人が増えているんです。理由は中古マンションの値段がすごく上がったからです。
たとえば5000万円で買った部屋が7000万円で売れるなら、家賃を何年もかけてコツコツ貯めるより、一気に2000万円の利益が手に入ります。この差が大きいと、貸し続ける魅力が薄れるんですね。
なるほど。でも家賃だってずっと入ってくるなら、長い目で見ればお得な気もします。どちらが得かはどう考えればいいんですか?
ポイントは「相場が今後も上がり続けるか」です。値上がりが続くと信じられれば貸したまま持ち続けます。逆に「そろそろ天井かも」と思えば、高いうちに売り抜けたくなります。
今回の調査で売却が増えているのは、多くのオーナーが「今が売り時」と判断し始めたサインとも読めます。相場のピーク感を敏感に感じ取っているわけです。
たしかに、記事には都心の中古価格が3年ぶりに下がったという話もありました。もう高値は終わりということでしょうか?
一概に終わったとは言えませんが、勢いが鈍り始めたのは事実です。港区で5000万円下げといった強気の値付けが通らなくなってきた例もあります。
つまり「まだ高いけれど、これ以上ぐんぐん上がるとは限らない」という微妙な局面です。だからこそ、上がりきったと感じたオーナーが早めに売却へ動いているのです。
賃貸の家賃は高いままなんですよね。それでも貸さずに売る人が多いのはなぜですか?
家賃は確かに高値圏で、1平方メートルあたり5000円台という水準が続いています。ただ、家賃は毎月少しずつしか入りません。
一方、売却益はまとまった額が一度に手に入ります。相場が下がるリスクを抱えたまま貸し続けるより、高いうちに現金化したいという心理が勝っているんです。今の値上がり幅が家賃収入より魅力的だということですね。
これはエージェントの現場にどう影響しますか? 賃貸担当と売買担当で見え方が違いそうです。
賃貸の現場では、供給される物件が減る可能性があります。オーナーが売却に回すと、貸し出される部屋が減り、良い物件の取り合いになりやすいからです。
売買の現場では、逆に売り物件が増えます。ただし相場が一服しているので、強気すぎる価格はなかなか買い手がつきません。適正な値付けの助言がより重要になります。
オーナーから「貸すべきか売るべきか」と相談されたら、エージェントはどう答えればいいんでしょう?
まずオーナーの目的を確認します。まとまった資金がすぐ欲しいのか、安定収入を長く得たいのかで答えが変わるからです。
そのうえで、今の売却相場と想定家賃を数字で並べて見せます。たとえば「売れば利益いくら、貸せば年間家賃いくらで回収に何年」と具体化すると、オーナーは自分で納得して判断できます。感情論でなく数字で示すことが信頼につながります。
相場が下がり始めた今だからこそ、注意すべき落とし穴はありますか?
一番の落とし穴は「まだ上がる」と過信して売り時を逃すことです。挑戦価格が通らなくなっている今、高望みしすぎると売れ残ります。
逆に賃貸を勧める場合も、空室リスクや管理の手間を正直に伝える必要があります。良い面だけ話すと後でトラブルになります。両方の損得を包み隠さず示すのが誠実な対応です。
最後に、この知識を持っているエージェントは何が強みになりますか?
この「貸すより売る」という流れを理解しているエージェントは、オーナーに対して市場の空気を先読みした提案ができます。単に物件を扱うだけでなく、資産の出口戦略まで一緒に描ける相談相手になれるんです。
賃貸供給が減る局面では、確保した物件を求める入居希望者に的確に紹介でき、売買では適正価格でスムーズに成約へ導けます。相場の転換点を数字で説明できる人が、オーナーからも入居者からも選ばれる差別化につながります。
10分でわかる
不動産ニュース解説とは?
不動産に関するニュースを、不動産エージェント向けに実務にも活かせるよう、わかりやすく対話形式で解説するコンテンツです。