小田原で家賃1.5倍、なぜ「高く買って安く貸す」のか
借り手が挑戦しやすい価格に…地価高騰でも「高く買って安く貸す」(NewsPicks +d) - Yahoo!ニュース(6月30日, Yahoo!ニュース)
この記事の要約
神奈川県小田原市で「路地裏マイクロディベロッパー」として知られる旧三福不動産は、リノベーションと仲介を軸に12年で128件の開業支援、230組の移住受け入れを実現してきました。しかし人気が高まるほど、需要と供給のアンバランスから家賃相場は10年前の1.5〜2倍に跳ね上がっています。 背景には首都圏の地価高騰に加え、小田原のポテンシャルに目をつけた東京の不動産会社や投資家による物件取得があります。投資用物件は家賃が高くなりがちで、駅から離れた小さな空き店舗が次々と建売住宅へと変わり、人が集まる場が失われつつあります。 こうしたなか同社は「高く買って安く貸す」という発想で、借り手が挑戦しやすい価格を維持し、まちのにぎわいを守る次の一手を模索しています。
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「高く買って安く貸す」って、不動産屋として損する話に聞こえます。普通は安く買って高く貸したいんじゃないですか?
はい、短期の利益だけ見れば逆ですよね。でもこの会社が狙っているのは、まち全体のにぎわいという長い目線の価値です。
小さな店が増えれば人が集まり、その地域全体が魅力的になる。結果として周辺物件の価値や同社への信頼も上がる、という循環を作ろうとしているんです。
なるほど。でもそもそも、なぜ小田原で家賃が10年で1.5〜2倍にもなったんですか?
大きく二つあります。一つは首都圏全体の地価高騰の波が、東京から少し離れた小田原にも届いたこと。
もう一つは、その小田原の人気に目をつけた東京の不動産会社や投資家が物件を買い集めたことです。投資目的で買うと、買った金額を家賃で回収しようとするので、どうしても賃料が高くなるんですね。
外から投資家が入ってくるのは、地域が注目されている証拠でいいことのようにも思えますが?
短期的にはお金が流れ込むので活気が出ます。ただ問題は、地元で挑戦したい人が高い家賃を払えず、店を出せなくなることです。
個人の小さなカフェや雑貨店は、月々の家賃が数万円違うだけで開業をあきらめます。結果、チェーン店や住宅ばかりになり、まちの個性が薄れてしまうんです。
記事にあった「店だったところが住宅に変わると、二度と店に戻らない」というのは、なぜそこまで言い切れるんですか?
建物の作りと用途のルールが変わるからです。店舗は人が出入りしやすい広い入口や設備が必要ですが、住宅はそれを前提に作りません。
一度3階建ての建売住宅になると、解体して建て直さない限り店には戻せない。だから一軒ずつ住宅化が進むたび、まちから「人が集まる場」が静かに、しかし確実に減っていくわけです。
この「高く買って安く貸す」モデルは、ちゃんとビジネスとして続けられるんでしょうか?
カギは、家賃以外で収益を取る設計です。同社は仲介と建築工事を組み合わせ、リノベーション工事で利益を出しています。
だから賃料を抑えても、工事や仲介、移住支援といった複数の柱で回収できる。家賃を「儲けの全部」にしない発想が、安く貸せる土台になっているんです。
なるほど。これって、ほかの地域のエージェントにも応用できる考え方なんですか?
十分応用できます。地価が上がっている地方都市や観光地では、同じく「家賃高騰で地元の挑戦者が締め出される」問題が起きています。
大事なのは、物件を単体の利回りで見るのではなく、まちの活気が物件価値を底上げするという視点を持つこと。借り手の事業が育てば、空室リスクも下がり長期入居にもつながります。
最後に、現場のエージェントは具体的に何をすればいいんでしょう?
まず、貸主に「短期の高い家賃」と「長期のまちの価値」を天秤にかける選択肢を示せるかが差別化になります。多少賃料を抑えても、活気ある借り手を入れた方が物件もエリアも長く稼げる、という提案ができる人は強い。
さらに、仲介だけでなくリノベーションや開業支援まで伴走できれば、家賃以外の収益源を持てます。「物件を売る人」から「まちと事業を育てるパートナー」へ立ち位置を変えること。それこそが、地価高騰時代に選ばれるエージェントの条件です。
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