金利1%時代に地銀が不動産融資へ傾斜 高知銀の苦渋が示すもの
地銀を襲った地価下落と金利上昇 不動産融資に傾斜する苦渋 佐々木城夛・編集部 - 週刊エコノミスト Online(8月30日, 週刊エコノミスト Online)
この記事の要約
日銀が31年ぶりに政策金利を1%へ引き上げ、さらに利上げを続ける見通しの中、地方では地価下落が進み、地銀・第二地銀の経営環境は厳しさを増しています。2025年度に地銀61行・第二地銀35行が増やした貸出金14兆2790億円のうち、約3割が賃貸マンションなど不動産業向けでした。 1行当たりでは連日1億円超を不動産向けに貸し増した計算で、依存度は年々高まっています。とくに北海道、青森みちのく、きらやか、高知など9行では、不動産融資がなければ貸出全体が前年割れという状況でした。 本業の資金需要が細るなか、地銀が不動産融資に活路を求める構図が浮かびます。これは賃貸市場の資金供給や物件供給に直結する話であり、現場のエージェントにとっても見逃せません。
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ニュースを見て『地銀が不動産融資に傾斜』とありました。銀行がマンション向けにお金を貸すのって、普通のことじゃないんですか?何が問題なんでしょう。
結論から言うと、問題は『そこにしか貸す先がなくなっている』点です。地方では人口が減り、地元企業への貸し出しが伸びにくくなっています。
そこで手堅く見える賃貸マンションなどの不動産融資に資金が集中してしまう。融資先が偏ると、不動産市況が悪化したとき銀行がまとめて痛手を負うリスクが高まるんです。
でも記事だと『連日1億円以上を不動産に貸し増した』とありますよね。それだけ需要があるなら、いいことなのでは?
需要というより、他が減った結果の消去法という側面が強いんです。記事の9行では、不動産以外の貸し出しが減っていて、不動産融資がなければ貸出全体がマイナスでした。
つまり『稼ぎたくて増やした』のではなく『減る分を穴埋めした』構図。攻めではなく守りの融資、と読むほうが実態に近いですね。
金利が1%に上がったことも関係あるんですか?低金利のほうが借りやすい気がしますが。
大いに関係します。金利上昇(=お金を借りるコストが上がること)は、不動産投資の採算を直撃します。
ローン返済額が増えるので、家賃収入から返済を引いた手残りが薄くなる。今後は『金利が上がっても回る物件か』という審査が銀行側で厳しくなっていく可能性が高いです。
地価が下がっていることも銀行にはマイナスなんですよね?なぜですか。
担保価値が目減りするからです。銀行は土地や建物を担保にお金を貸しますが、地価が下がると担保が『目減りした保証』になってしまう。
高知銀行のように地価下落県が本店だと、地元の担保価値がじわじわ弱る。だから貸出総額を減らしつつ、不動産依存だけが上がるという、じつに苦しい構図になるわけです。
これって、私たち現場のエージェントの仕事にどう響いてくるんでしょう?
まず賃貸物件の『供給ペース』に効いてきます。銀行が融資を絞れば、新築賃貸マンションの建設が減り、地方では空室物件の淘汰が進む可能性があります。
一方で、金利上昇でローン返済がきつくなったオーナーが物件を手放す動きも出やすい。売買と賃貸、両方の玉(物件)の流れが変わる転換点なんです。
オーナーさんと話すとき、具体的にどんな点を押さえておくといいですか?
変動金利で借りているオーナーには、返済負担の増加を前提とした収支の見直しを促すのが有効です。金利が上がった今、家賃の維持や設備投資の判断がより重くなります。
また地銀の融資姿勢が地域で変わり始めていることを知っておくと、『いま売るべきか、持ち続けるべきか』というオーナーの相談に、根拠を持って答えられます。
なるほど。地銀の決算まで見ておくと、地域の空気が読めるということですね。
その通りです。地元地銀の不動産融資依存度は、その地域の賃貸市場の『体温計』のようなもの。依存度が高い地域は、金利上昇局面で物件の動きが早まりやすいと予測できます。
競合が『金利が上がった』としか言えないなか、あなたは『地元地銀の資金供給がこう変わるから、市場はこう動く』と語れる。この一段深い地域分析こそ、オーナーからの信頼を勝ち取る最大の差別化になります。
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