仲介倒産、通年130件へ迫る―7割が零細、DX格差が招く2026年の淘汰
不動産代理・仲介業の倒産動向(2026年1-8月) - tdb.co.jp(9月8日, tdb.co.jp)
この記事の要約
帝国データバンクの調査によると、不動産代理・仲介業の倒産は2026年1〜8月で86件に達しました。前年同期の87件とほぼ同水準ですが、過去最多だった2025年(133件)に迫る高いペースで、このまま推移すると通年で約130件が見込まれます。 規模別では負債5000万円未満の中小零細が60件と全体の約7割を占めました。一方で負債総額は約79億8300万円と前年同期比66.6%増。10億円以上の大型倒産も1件発生し、負債の大型化も進んでいます。地域は関東44.2%、近畿27.9%と大都市圏に集中しています。 背景には、宅建業者数が11年連続で増える中での競争激化があります。オンライン内見やAIを活用する大手と、DX投資が難しい中小零細との間で顧客獲得の格差が広がっていることが、倒産の高止まりにつながっているとみられます。
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首都圏では家賃も売買価格も上がっていて、不動産業界は好況だと聞きます。それなのに仲介会社の倒産が過去最多に迫るって、矛盾しているように感じます。どうしてこんなことが起きるんですか?
いい着眼点です。結論から言うと、市場が好調でも「儲かる会社」と「儲からない会社」の差が大きく開いているからです。
家賃や物件価格が上がると、大手や資金力のある会社の売上はどんどん伸びます。一方で、体力のない零細事業者は同じ土俵で戦えず、取りこぼしが増える。市場全体が良くても、恩恵が均等に行き渡るわけではないんです。
倒産した会社の7割が負債5000万円未満の零細だそうですね。この「零細に集中している」という点が今回の特徴なんでしょうか?
まさにそこが核心です。今回86件のうち60件、約7割が負債5000万円未満の小さな会社でした。
こうした会社は、社長を含めて数人で回している街の不動産屋さんのイメージです。手元資金が薄く、少し売上が落ちたり広告費がかさんだりするだけで、あっという間に資金繰りが行き詰まる。景気の波に一番弱い層なんです。
記事に「DX投資で大手と中小の格差が広がる」とありました。DXって具体的に、仲介の現場で何が変わっているんですか?
DXは「デジタルで業務を効率化すること」ですが、仲介の現場では集客のやり方が大きく変わりました。大手はオンライン内見やAIを使った物件サイトで、お客さんを自社に囲い込んでいます。
たとえば、来店しなくてもスマホで内見予約から契約手続きまで完結できる。忙しい人ほど便利な大手を選びます。こうしたシステムには数百万〜数千万円かかることもあり、零細には投資が難しい。結果、集客の入口で差がついてしまうんです。
でも宅建業者の数は11年連続で増えているんですよね。倒産が増えているのに、なぜ会社の数は増え続けるんでしょう?
これは「参入も退出も両方多い」状態だと理解してください。都市圏の好況を見て新規参入する法人が毎年増え、法人業者数は前年比1.8%増の約12万業者になっています。
つまり、次々に新しい会社が入ってくる一方で、競争に負けた会社が淘汰されている。プレイヤーの入れ替わりが激しく、全体では増えていても中身は厳しい生存競争なんです。個人事業者は逆に減っており、法人化・大型化の流れが読み取れます。
倒産の負債総額が前年より66.6%も増えているのも気になります。件数はほぼ横ばいなのに、金額だけ大きく増えるのはなぜですか?
負債5億円以上の比較的大きな倒産が増えたからです。前年同期は2件でしたが、今年は5件。高知の会社では約16億円という大型倒産も出ました。
小さな会社の倒産に加えて、そこそこの規模の会社まで倒れ始めている。これは「零細だけの問題」から一歩進んで、業界全体の再編圧力が強まっているサインとして注意すべきです。
こうした状況で、私たち現場のエージェントは何に気をつけて、どう動けばいいんでしょうか?
まず取引相手や提携先の見極めです。管理会社や仲介パートナーが体力のある会社かを確認し、倒産に巻き込まれるリスクを減らすこと。特に関東・近畿の大都市圏に集中しているので、地域の同業の動きは敏感に追いましょう。
そのうえで差別化のカギは、大手が取りこぼす部分を丁寧に拾うことです。大手はシステムで効率化しますが、複雑な事情のある物件や、対面での安心感を求めるお客さんには限界がある。DXを補助線に使いつつ、人にしかできない提案力・地域密着の情報で勝負する。「システムでは代替できない担当者」になることこそ、淘汰の時代を生き残る最大の武器です。
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