長期金利3%突破、大手行が住宅ローン低金利競争から撤退する理由
長期金利3%時代の住宅ローン、大手行は低金利競争に幕 - 日本経済新聞(9月1日, 日本経済新聞)
この記事の要約
日銀の利上げを背景に、住宅ローンの環境が大きく変わりつつあります。変動型金利は約15年ぶりの高水準となり、長期金利は3%を超えました。これに伴い、企業向け貸出でも金利引き上げが進んでいます。 こうしたなか、大手銀行はこれまでの「安く手広く貸す」住宅ローン競争と距離を置き始めています。三井住友信託銀行は、出資先のネット銀行に住宅ローン販売を移管する方針を示すなど、収益性の高い企業向け融資に軸足を移す動きが見られます。 低金利で顧客を集める時代が転機を迎え、住宅購入の判断や資金計画にも影響が及びそうです。賃貸・売買の現場でも、この変化を踏まえた提案が求められます。
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ニュースで『長期金利が3%を超えた』とありましたが、これって住宅ローンにどう関係するんでしょうか?金利って一種類じゃないんですか?
結論から言うと、住宅ローンの金利は大きく2種類あって、それぞれ違う指標に連動します。まず『変動型』は日銀の政策金利(=日銀が決める短期の金利)に、『固定型』は長期金利(=10年物国債の利回りなど)に連動します。
今回のニュースは、その長期金利が3%を超え、変動型のもとになる金利も約15年ぶりの高水準になった、という話です。つまり、これまで異常に低かった金利が『普通の水準』に戻りつつある、と考えると分かりやすいです。
15年ぶりの高水準ってすごいですね。ずっと低金利が当たり前だったので、正直ピンときません。実際どのくらい上がっているんですか?
関連報道を見ると、固定型は大手行で10年3%台、変動型の平均も15年ぶりに1%を超えたとされています。数字だけ見ると小さく感じるかもしれませんが、住宅ローンは金額が大きく期間も長いので影響は大きいです。
たとえば3000万円を35年で借りる場合、金利が1%違うだけで総返済額は数百万円単位で変わります。これまで『低金利だから今が買い時』と背中を押されてきた人にとっては、前提が崩れる話なんです。
なるほど。それで大手銀行が『低金利競争に幕』ということなんですね。でも、たくさん貸したほうが銀行は儲かるんじゃないですか?なぜ撤退するのでしょう。
ポイントは『薄利多売の商売がうまみを失った』ことです。これまで大手行は、住宅ローンを非常に低い金利で大量に貸し、顧客との接点を作る入り口商品のように扱ってきました。
ところが金利が上がると、企業向けの融資でしっかり利ざや(=貸出金利と調達コストの差)を稼げるようになります。手間の割に儲けが薄い住宅ローンより、企業向けにリソースを回したほうが効率的、という判断です。
記事にあった、三井住友信託銀行がネット銀行に住宅ローンを移すという話も、その流れなんですね。
そのとおりです。これは『住宅ローンをやめる』のではなく、『コストの安いネット銀行に任せる』という役割分担の動きです。店頭で人を使って売るより、ネットで効率よくさばくほうがコストに合う、という考え方ですね。
結果として、対面できめ細かく相談できる大手行の窓口は減り、住宅ローンはネット中心へと移っていく可能性があります。借りる側の選び方も変わってくるでしょう。
借りる人にとっては、選択肢が減るような、増えるような…。買う人の心理にはどんな影響が出そうですか?
まず、金利上昇で毎月の返済負担が増えるため、買える価格帯の上限が下がる人が出てきます。同じ返済額でも借りられる額が減るからです。
一方で、これまで変動型に集中していた層が、将来の金利上昇を警戒して固定型を選ぶ動きも出ています。『安さ』だけで飛びつく時代から、『どのリスクを取るか』を考える時代に変わってきた、と言えます。
これは売買の話ですが、賃貸の現場にも関係してくるんですか?
大いに関係します。金利が上がって買うハードルが上がると、『今は無理に買わず賃貸で様子を見る』という層が増える可能性があります。賃貸需要にとってはプラスに働く面があります。
また、金利上昇はオーナー(=物件所有者)のローン負担も重くします。返済が増えた分を家賃に転嫁する動きや、新規の賃貸物件供給が鈍る動きも考えられ、家賃相場にじわじわ影響してくるテーマです。
エージェントとしては、こういう金利の話をどう仕事に活かせばいいのでしょうか?
まず、金利局面が変わったことを『自分の言葉で説明できる』ことが差別化になります。多くのお客様はまだ『低金利が当たり前』という感覚のままなので、変動と固定の違いや、返済額への影響を具体的な数字で示せるだけで信頼されます。
売買では『買う vs 借りる』の損得を金利前提で一緒に試算し、無理のない予算を示すこと。賃貸ではオーナーに対し、金利上昇下での家賃設定や保有戦略を助言することが強みになります。
つまり、金利は単なるニュースではなく、お客様の意思決定を左右する材料です。それを翻訳して届けられるエージェントこそ、これからの局面で選ばれる存在になります。
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