定借マンション過去最多へ、地主が土地を『売らずに貸す』理由とは
定借マンション供給急増 地主、売却時の税負担を敬遠 薄れる持ち家志向も後押し - 日本経済新聞(7月10日, 日本経済新聞)
この記事の要約
期限付きで借りた土地の上に建てる「定期借地権付きマンション」(=定借マンション)の供給が急増し、2026年は過去最多になる見通しです。新築マンション全体の供給が細るなかでの逆行現象です。 背景には二つの流れがあります。一つは、土地を売ると重い税負担が生じるため、売らずに貸すことを選ぶ地主が増えていること。もう一つは、購入者側で『必ず土地を所有したい』という持ち家志向が薄れていることです。 定借マンションは契約期限が来たら建物を解体して更地にし、地主へ返すのが一般的です。購入者は管理費・修繕積立金に加え、毎月の地代と解体積立金も負担します。その代わり土地代がかからず、価格を抑えられるのが特徴です。
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定借マンションって最近よく聞くようになりました。そもそも普通の分譲マンションと何が違うんですか。
一番の違いは『土地を買うかどうか』です。普通の分譲は建物と土地の両方を買いますが、定借は建物だけを買い、土地は地主から期限付きで借りる形になります。
例えるなら、普通の分譲は土地ごと自分のもの、定借は『長期のレンタル駐車場の上に自分の家を建てる』ようなイメージです。だから価格が土地代のぶん安くなるのです。
なるほど。でも地主からすると、貸すより売ってしまった方が手っ取り早くお金になりそうです。なぜあえて貸すんでしょう。
結論から言うと、売ると税金が重いからです。土地を売却して利益が出ると譲渡所得税がかかり、長く持っていた土地ほど値上がり分が大きく、課税額もふくらみます。
一方で貸せば土地は手元に残り、毎月の地代が入ってきます。売却して一度に大きな税金を払うより、貸して長く収入を得る方が有利だと判断する地主が増えているわけです。
購入する人にとっては、土地が自分のものにならないのは不安じゃないですか。
以前はそう考える人が多かったです。ただ最近は『住めればいい』『いずれ住み替える』と考える人が増え、土地の所有にこだわらない層が広がっています。
終身雇用が当たり前でなくなり、転勤や住み替えも増えました。一生同じ場所に住む前提が崩れたことが、持ち家志向の希薄化につながっています。
でも毎月、地代と解体積立金も払うんですよね。結局トータルでは高くつくこともあるんじゃないですか。
鋭い指摘です。初期費用は安くても、地代と解体積立金という『所有権マンションにはない固定費』が上乗せされます。長く住むほどこの差は積み上がります。
なので買い手には、購入価格の安さだけでなく『月々の総支払額』と『住む年数』で比べてもらう必要があります。ここを丁寧に説明できるかがエージェントの腕の見せどころです。
期限が来たら更地にして返すという契約も気になります。買った人は最後どうなるんですか。
契約の多くは、期限(一般的には50年など)が来たら建物を解体し、土地を地主に返します。つまり最後は住まいが手元に残りません。
このため『資産として次世代に残す』目的には向きません。逆に『必要な期間だけ安く快適に住みたい』人には合います。目的が合う人に勧めることが大切です。
賃貸の営業をしている立場だと、この動きは自分たちに関係ありますか。
大いに関係します。定借マンションは『所有と賃貸の中間』にある選択肢で、賃貸か購入かで迷う顧客の受け皿になります。
賃貸を検討している人に、月々の負担が近い定借という第三の道を提示できれば、提案の幅が一気に広がります。他社が『賃貸か分譲か』の二択で止まる中、差がつくポイントです。
転売のしやすさはどうなんでしょう。途中で売りたくなったときに困りませんか。
ここは注意が必要です。定借は残りの契約年数が短くなるほど価値が下がりやすく、買い手も限られるため、通常の分譲より売りにくい傾向があります。
住宅ローンも借りにくい金融機関があり、購入層が狭まりがちです。だからこそ、出口(=売却や住み替えの見通し)まで含めて説明できるエージェントが信頼されます。
これから定借マンションはさらに増えていきそうですか。
増える方向だと見ています。地主の税負担回避と、都心の土地価格高騰、そして持ち家志向の変化という三つの追い風がそろっているからです。
エージェントとしては、定借の仕組み・月々の総費用・出口リスクを自分の言葉で正確に説明できることが最大の武器になります。『安いから』と勧めるのではなく、顧客の住む年数と目的に合わせて所有権マンション・賃貸・定借を並べて比較提案できれば、他社と明確に差別化でき、信頼される専門家として選ばれます。
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