171棟のマンション修繕で談合発覚、課徴金16億円――住民は何を信じればいいのか
社説:マンション談合 価格つり上げ分の補償を急げ - 読売新聞(9月29日, 読売新聞)
この記事の要約
関東のマンション管理組合が発注した大規模修繕工事を巡り、公正取引委員会が設計コンサルタント2社と工事会社40社の独占禁止法違反(談合)を認定しました。38社に再発防止の排除措置命令が出され、受注業者には計約16億円の課徴金納付が命じられました。 住民に寄り添うべきコンサル会社が工事会社と癒着し、ゴルフ接待を受けたうえ受注額の約5%をマージンとして受け取っていた実態も明らかになりました。公取委は談合対象となった171のマンション名を異例の公表に踏み切り、業者側に住民への早期補償を促しています。 修繕工事は億単位の費用がかかることも多く、資材費・人件費の高騰で金額の妥当性は住民には判断しづらくなっています。専門知識の乏しさゆえコンサルに頼った信頼が逆手に取られた形で、東海地方でも同様の疑惑が調査中です。
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ニュースで「マンションの修繕で談合」と聞いたのですが、そもそも談合って何ですか。工事を安くしてくれるなら、むしろ住民には良いことじゃないんですか。
逆なんです。談合(=業者どうしが裏で話し合って、誰がいくらで受注するか事前に決めること)は、住民が払う工事費を不当につり上げます。
本来は複数の業者が競い合って値段を下げるはずが、談合があると競争が起きません。今回はその結果、住民が高い工事費を負わされた疑いがあり、課徴金16億円という大きな処分につながりました。
でも管理組合には、住民を助けてくれるコンサルタントがいたんですよね。専門家がついていたのに、なぜ防げなかったんですか。
まさにそこが今回の悪質さです。住民の味方であるはずのコンサル会社が、工事会社と癒着していました。
コンサルはゴルフ接待を受け、さらに受注額の約5%をマージン(=手数料的な取り分)として工事会社から受け取っていたとされます。審判が片方のチームからお金をもらっているようなもので、公正な業者選びなど期待できません。
「チャンピオン」という言葉も出てきましたが、これは何ですか。
談合であらかじめ「今回はこの会社が受注する」と決められた勝者役の業者のことです。業界の隠語ですね。
つまり入札は形式だけで、勝つ会社は最初から決まっていた。他社はわざと高い金額を出して、チャンピオンが自然に勝つよう演出する。住民から見れば公正な競争に見えて、実は出来レースだったわけです。
公取委が171棟のマンション名まで公表したそうですが、これは普通のことなんですか。
いいえ、かなり異例です。通常は個別の物件名まで出しません。
狙いは住民への補償を急がせることだと見られます。名前が出れば「うちも被害者かもしれない」と住民が動きやすくなり、業者側も逃げにくくなる。公取委が住民救済を強く意識したメッセージと言えます。
でも、いくら高く取られたのか、どうやって計算するんですか。難しそうです。
そこが最大の難関です。「適正な工事費」との差額が被害額ですが、その適正額を後から算定するのは簡単ではありません。
裁判で争えば時間もお金もかかり、被害者である住民に新たな負担がのしかかります。だからこそ社説は、業者側が自ら別の専門業者に適正額を出させ、差額を示して迅速に返還すべきだと求めているのです。
なぜ最近こういう問題が目立つようになったのでしょうか。
背景には工事費の高騰があります。資材費や人件費が上がり、修繕費が億単位に膨らむケースも珍しくありません。
金額が大きく複雑になるほど、専門知識のない住民には妥当性が判断できなくなります。だから住民はコンサルに頼る。その頼らざるを得ない構造を、業者が逆手に取ったわけです。
私たち賃貸や売買の担当者にとっては、少し遠い話のようにも感じますが、関係ありますか。
大いに関係します。中古マンションの売買では、管理組合の運営や修繕の健全性が資産価値を左右します。
談合物件に含まれていれば、今後の補償や住民トラブル、修繕計画の見直しといった不確定要素が出てきます。買主にとってはリスク情報であり、把握しているエージェントは信頼されます。
実務で、具体的にどう役立てればいいでしょうか。
まず公表された171棟や東海地方の調査動向を押さえ、扱う物件が該当しないか確認する姿勢を持つことです。これだけで顧客への説明力が変わります。
そのうえで、修繕積立金の状況や過去の工事費の妥当性、コンサル選定のプロセスまで見られると、単なる仲介ではなく「資産を守る助言者」になれます。談合問題は不安を煽る材料ではなく、あなたが誠実さと専門性を示し、他社と差別化する絶好の機会です。
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